こんにちは、たねやつです。
2年ほど前より、FDM形式の(溶かした樹脂を押し出して層を作っていく)3Dプリンターを使用しているのですが、新たに光造形式のプリンターが仲間に加わりました!!
Anycubic
さんより発売されているPhoton
という名前の光造形式3Dプリンターです。名前からして光感がすごい✨
この記事では使ってみた感想などを残していきます😀
見た目
開封して動かせる状態にしたものがこんな感じ。蓋はバカっと一昔前のスーパーカーみたいに上まで開きます。
このバット内にレジンを入れて、下から層の形をした液晶を通ってUVLEDが照射されます。そして上の鉄の塊の部分に造形物がつり下がる形で生成されていきます。
操作パネルはタッチパネル式でかなり扱いやすいです。(日本語には非対応ですが簡単な英語とイラストなのでそこまで大変ではない)
出力したもの
使用しているレジンはELEGOO
の水洗いレジン(クリアブルー)です。
とりあえずスライサーとサポートのつけ方などの勉強のためにキーキャップと円柱が甚だしいを印刷してみています。(薄い部分、造形の細かい部分、緩やかなRがついている面があるので)
0.5
mmで出力したものをやすりとコンパウンドで磨いたものがこんな感じです。普通にレジンを固めて作ったものと同じような透明感と光沢感が発生しますね!
研磨前後を並べるとこんな感じ pic.twitter.com/Cm7bRl1Z4Q
— たねやつ🐄<キーキャップ販売ナウ (@taneyats) August 7, 2020
もっと積層模様が内部にも見えるかと思ったのですが、全く見えなくていい感じですね!!
なぜ光造形式が必要?
おおむね以下の理由です。
- 3Dプリンタもう一台ほしいが、FDM式はすでに持っている
- 積層ピッチがなるべく見えないように印刷したい
- あまり大物を印刷する機会はない
- レジンが好き
主に最後の理由がためPhotonを購入したという感じです・・・(笑)
FDM機との違いを感じたところ
双方の方式にはメリットデメリットがあると思いますが、とりあえず自分が感じた相違点などをまとめていきます。
印刷自体はかなり速いが、後処理が手間
FDM形式の場合はノズルの移動距離(≒体積)と移動速度によって印刷時間が決まりますが、光造形式(LCD方式)の場合は、印刷するデータ内のZ方向の高さと露光時間で印刷時間が決まります。つまり、高さが同じモデルを一度に1個印刷しても2個以上印刷しても同じ時間かかるということになります。同一モデルが大量に必要になるときはかなりの時間短縮になります。
しかし、造形物が完成したのちにレジンの洗浄・乾燥・硬化の後処理工程が発生します。FDMの場合はサポートを取り除くだけで使用可能なものがほとんどだと思います。
洗浄に10分、乾燥に1日ほど、硬化に数分という感じで断続的に処理してあげる必要があります。待ち時間的にはエポキシ樹脂の硬化に似ていますね!
洗浄を簡単にするために水洗いレジンという商品も存在します。これは洗浄時にIPAが不要で水のみで洗浄可能なレジンです。普通のSLA用レジンと水洗いレジンの両方を使ってみたのですが、段違いに水洗いレジンのほうが使いやすいです!すこし高価になってしまいますが、今後も水洗いレジンを使用していこうと思います。
積層の歪みなどがほとんどない
これはちゃんと手入れしていないウチのFDMプリンタに問題があるような気がしますが、 SLA方式の場合のほうが造形物の外形のガタガタ(歪みや加減速の縞模様など)がかなり少ないです。プリンタを購入後、プラットフォームの水平をとっただけで他にいじったところはないままこれだけの精度が出るのは驚きました!
サポート材は考えてつける必要がある
FDM方式の場合、サポートをつけるのも(Curaであれば)一発ですが、SLA方式の場合は(CHITUBOXであれば)自動で8割ぐらいは生成してくれますが、追加でサポートが必要な場所に足してあげる必要があります。
サポートが足りないと、FEPフィルムから引きはがされる力に負けて造形物の層が歪んでしまったり、引き剝がされてFEPフィルム側に張り付いてしまい剝がすのがとても大変になります。 この剝がす時にフィルムを傷めてしまうので慎重に作業しなければなりません。
ものすごい体に悪い臭いがする・アレルギーにも気を付ける必要がある
レジンを使用した作品制作はいつも行っているのでUVレジン硬化時の異臭は知っていたのですが、SLA方式のプリンタの場合(Photonの場合?)その数倍の臭さを放ってきます。。。
開封後の初回印刷の時にはダイニングで2時間ぐらい試したのですが、換気扇を回してもその部屋にいるのが限界なぐらいのにおいとなっていました😅
今は風呂場の洗面台の下あたりに鎮座してもらっています。夜に風呂の換気と一緒に印刷して次の日に収穫しています。水場が近いこともあり後処理が楽なので、意外とベストな置き場所なのかもしれません(笑)
あと、硬化する前のUVレジン液が肌や粘膜に付着するアレルギー反応を起こす可能性があるので取り扱いには細心の注意を払う必要があります。発症してしまうと歯の詰め物も取らないとダメになってしまうらしいですね。。。
最後に
FDM機はすでに持っていて、レジンについても扱いに心得はあるので最初にプリント始めるまでは思ったよりもスムーズにできたと思います。ただ、やはりFDM機に比べて完成品まで面倒、においが臭い、危険物を扱っているという点において結構面倒な部分もあります。それを補うほどの美しさ、精度のものもが(自分にとって)出来上がるのでいいのですが、やはり3Dプリンターの方式は一長一短という感じですね。
これからもぽつぽつと光造形プリンターのお話をしていくかもしれないのでお楽しみに!