たねやつの木

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ロマンの塊!中国・深圳で改造された「48GB版 RTX 4090」購入レポートが話題に

こんにちは、たねやつです。

PCパーツ、特にグラフィックボードの進化にはいつも驚かされますが、時としてその進化の枠を飛び越えるようなクレイジーな試みが現れます。今回、AI開発者や研究者が集う海外の掲示板Redditのコミュニティ「/r/LocalLLaMA」で、度肝を抜かれるような投稿が話題になっています。

なんと、中国・深圳で改造されたVRAM 48GB版のRTX 4090を購入したという猛者が現れたのです。この記事では、その衝撃的なレポートと、活発な議論が交わされたコメント欄の情報を基に、改造版GPUの実態、性能、価格、そしてその背景にあるロマンとリスクについて、さらに詳しく解説していきます。

この記事でわかること

  • 改造版「48GB RTX 4090」がどのようなものか
  • Redditユーザーが深圳まで飛んで現物を購入した詳細な経緯
  • VRAM 48GBがローカルLLM環境にもたらすメリット
  • 改造GPUの具体的な価格と、それに伴うリスク
  • コミュニティから寄せられた様々な反応と、今後の可能性

発端:Reddit /r/LocalLLaMAでの衝撃的な報告

事の発端は、ローカル環境で大規模言語モデル(LLM)を動かすことに情熱を注ぐ人々が集まるRedditコミュニティ「/r/LocalLLaMA」に投稿された一件のレポートでした。投稿者の動機は、以前使用していたTesla P40(VRAM 24GB)ではAIモデルの実行が遅く、より大容量のVRAMを求めたことでした。

https://www.reddit.com/r/LocalLLaMA/comments/1nifajh/i_bought_a_modded_4090_48gb_in_shenzhen_this_is/

なぜ深圳へ?サイバーパンクな購入道中

投稿者は当初、Alibabaでこの改造カードを見つけましたが、付加価値税(VAT)や配送トラブルを懸念。そこで彼は、なんと香港を経由して深圳にある販売業者「Ailfond Technology (shenzhen) Co., Ltd」の事業所へ直接向かうことを決意します。

中国語が話せない彼は、AI翻訳(DeepSeek)を駆使して住所を特定し、現地に到着。しかし、決済段階でAlipayがブロックされるというトラブルに見舞われ、最終的にはATMで大量の現金を引き出して支払ったとのこと。その生々しいレポートは、まるでサイバーパンク小説のような冒険譚として、多くの読者を引き込みました。

改造版48GB RTX 4090の実態

このグラフィックボードは、市販のRTX 4090(標準VRAM 24GB)をベースに、専門の業者がVRAMチップを物理的に交換し、容量を2倍の48GBに増設した「改造品」です。

レポートによると、このカードはAIモデルの学習や推論に使われることの多いサーバーシャーシにも収まるように、冷却機構なども含めて改造が施されているとのこと。まさに、ローカルでAIを動かしたいというニッチで強烈な需要に応えるために生まれたモンスターマシンです。

コメント欄の別のユーザーによれば、自身が購入した同様の48GB改造カードの性能は「オリジナルのRTX 4090 24GBと全く同じ」だったと報告しており、改造による性能劣化はない可能性が示唆されています。

LLMユーザーにとっての福音

VRAM 48GBという容量は、LLMをローカルで扱うユーザーにとってまさに夢のようなスペックです。

  • より大規模なモデルの実行: 70B(700億パラメータ)クラスのモデルを、量子化(精度を落として軽量化する技術)なし、あるいは非常に高い精度で丸ごとVRAMに読み込めるようになります。
  • 長大なコンテキスト: 大量の文章やデータを一度に扱えるため、より文脈を理解した高度な応答が期待できます。
  • 高速な推論: モデルのすべてが高速なVRAM上で完結するため、システムメモリへのスワップが発生せず、応答速度が劇的に向上します。

価格、そしてコミュニティの反応

具体的な価格情報

コメント欄では、価格に関する生々しい情報が多数共有されました。

  • 投稿者の購入価格: 22,900人民元(約3,150ドル)。
  • 他の選択肢:
    • モスクワでは、同様の改造サービスが約900ドルで提供されているとの報告。
    • 別のユーザーは、中国のオンラインストアでこのカードを含むPC一式を33,000人民元で購入し、2年保証も付いていたとコメント。
    • さらに別の情報では、中国国内では3年保証付きで約20,500人民元で販売されている例もあり、投稿者は少し払いすぎたのではないか、という指摘も上がっています。

コミュニティの熱狂と懸念

この投稿に対して、コミュニティは熱狂的に反応。「サイバーパンクな未来」「GPUの闇市場」といったコメントが並び、多くのユーザーがその冒険心を称賛しました。

一方で、「これは広告ではないか?」「作り話では?」といった健全な懐疑論や、関税や密輸のリスクを指摘する声も上がり、活発な議論が展開されました。

リスクと今後の可能性

もちろん、このような改造品には大きなリスクが伴います。

  • 保証がない: メーカー保証は完全に無効です。
  • 詐欺のリスク: 偽物のチップや低品質な部品が使われている可能性も否定できません。
  • 安定性の問題: 非公式な改造であるため、長期的な安定性や互換性は未知数です。

しかし、今回のレポートで最も興味深いのは、販売業者が「将来的にはRTX 5090で96GB以上のVRAMを持つモデルも開発中だ」と語った点です。これが事実であれば、コンシューマー向けGPUのVRAMを巡る状況は、今後さらに面白くなっていくのかもしれません。

最後に

今回は、深圳で販売されている改造版48GB RTX 4090という、まさにロマンの塊のようなパーツについての話題をお届けしました。

そのサイバーパンクな購入経緯、具体的な価格、そしてコミュニティの熱狂と懸念まで含めて、単なるパーツの話題に留まらない非常に面白いストーリーでした。公式な製品ではないため誰にでもお勧めできるものではありませんが、より高性能な環境を求めるユーザーの情熱と、それに応えようとする市場のダイナミズムが感じられます。

我々のような一般ユーザーにとっては、これがきっかけとなり、将来的にNVIDIAがより多くのVRAMを搭載したコンシューマー向けGPUをリリースしてくれることを期待したいですね!

参考・引用

I bought a modded 4090 48GB in Shenzhen. This is what I learned. : LocalLLaMA