たねやつの木

Photographs, Keyboards and Programming

VORON 2.4 R2 ビルドログ (31(MOD) - Obicoの導入)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事では、Obicoというアプリを導入してVORONの属するLAN外からでもカメラなどをチェックできるようにしていきます。印刷の停止等のコマンドを送ることもできるので、家の外からもじゃっているのを確認して止めるということができるようになります。

VORONだけではなくKlipperで動作しているプリンターであれば基本的に同じ手順と設定で行けるはずです。

前の記事

前回はカメラのセットアップをしました。

Obico

公式ページ

Klipperで動作するプリンターを自宅内外から監視と無料ユーザーであればある程度の操作することができるようになるアプリです。サーバーのソース自体はVORON同様オープンな状態となっています。

自前でサーバーを構築・公開してそこに接続することもできるのですが、今回はクラウド上に展開しているObico Cloudを使用します。必要最低限の動作は無料で利用することができます。

Klipperに導入

Klipper環境への導入手順は以下にあります。VORONが印刷状態にない時に実行してください。

Creality K1のようなKlipperがプリインストールされているような機種の場合はそれぞれの手順に従ってください。

アカウント作成

最初にインストール手順内で認証コードを発行するためにObico Cloud上でのアカウントを作成しておきます。公式ページからLog inあたりからアカウントを作成します。

ログインして画面左のPrintersからAdd Printerを押してGeneric Klipperの方を選択します。インストール手順がでますので一旦このブログの次の章に進みます。

ダウンロードとインストール

まずはRaspberry PiにSSH接続してKlipperが動いているユーザーでログインします。以下のコマンドを1行ずつ実行してファイルのダウンロードとインストールがを行います。

cd ~
git clone https://github.com/TheSpaghettiDetective/moonraker-obico.git
cd moonraker-obico
./install.sh

git cloneで必要なファイルを取得し、./install.shでインストールを開始します。実行中にパスワードの入力を求められたらsudoを実行するのに必要なパスワードを入力します。Raspberry Pi構築時の初期ユーザーであればログイン時のパスワードと一緒でOKです。

最初にいくつかの設定用の数値を聞いてきますが全部デフォルトでOKです。自前サーバーで行う場合は適宜変更してください。

次に接続するObicoサーバーのURLを聞いてくると思いますが、これもデフォルトのままhttps://app.obico.ioにしておきます。

最後に6桁の認証コードを聞いてくるのでさっきのブラウザの画面を次に進めて対象のプリンターを選択して認証コードを取得、コンソール上でそれを打ち込んで完了です。

最後にObico the Owlを拝んでターミナルを終了します。

特に設定不要でめっちゃ簡単

基本これだけでObico Cloudを使用することができるようになります。すでにブラウザの画面からカメラの画像が映し出されていると思います。クラウドサーバーを使用する場合はとても簡単ですね。もっと自宅ネットワークに穴を開けて頑張らんといけないのかと思っていましたが、MoonrakerというAPIサーバーを回してHTTPリクエスト等で実現できているようなので安心です。余談ですがRaspberry PiにOSを導入した当初はMainsailMoonrakerKlipperのそれぞれの役割がいまいちわかってませんでした...

iOS/Androidアプリをインストール

ブラウザからチェックできるだけでも大きな進歩ですがスマホアプリも導入してもっと身近にチェックすることができます。各アプリストアからObicoと検索してインストールします。

ログインすればすぐにつかえる

アカウントとVORONの紐づけはすでに完了しているので、スマホではログインするだけですぐにカメラのチェックなどを行うことができます。

Androidは通知領域からいつでもチェックできる

iOS端末を持ってないのでわからんのですが、Androidでは通知領域に張り付いて常時チェックできます。サムネ画像も結構高頻度で変わるのでココだけでざっくり確認して疑問点あれば通知をタップして詳しく確認というフローで定着しました。

印刷終了時にプッシュ通知とメール通知がくる

個人的に結構嬉しいのがプッシュ通知で印刷の終了を教えてくれることです。自分の場合はメインの作業場の背後にあるので音ですぐ完了がわかるのですが、外出時とかには便利ですね👀

メールでも完了をお知らせしてくれますが冗長なのでオフにしたい。

チェックと停止なら無料版で十分

ちなみにObico Cloudのアカウントは基本無料でサブスクから機能の強化を行うことができます。

新規登録後1ヶ月はお試しの有料版となる

新規登録すると1ヶ月間は無料お試し期間としてすべての機能を使用することができるようになっています。具体的にはカメラのプレビュー常時再生、Klipperトンネルの無制限(後述)、AI Detection機能の使用可能などです。

あればいいに越したことないですが、個人的なニーズは「LAN外から確認したい」「LAN外から停止したい」という点だけなのであまり必要性を感じません...がお布施的にサブスクしておくのもいい貢献になるかもしれません👀

あとはライティングがあれば完璧

コレで外部から監視できるようにはなったのですが、未だに部屋が暗いままだとチェックできないため次回はKlipperから制御できるLEDライトを設置します。次回は庫内を照らすLEDの設定を進めます。

VORON 2.4 R2 ビルドログ (30(MOD) - カメラモジュールについて)

VORON 2.4 R2 ビルドログ (30(MOD) - カメラモジュールについて)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事ではVORONにカメラを搭載して遠隔から状態をチェックできるようにします。ココまではVORON本体の基礎的な部分の組立と調整でしたが今回からは追加部品(MOD)について進めていきます。

前の記事

前回はKlipperScreenについて設定を進めました。前回でSIBOORのキット品としては完成しています。

Raspberry Piにカメラを挿す

まずは動作チェックのために適当なカメラを接続してKlipperから表示できるかトライします。

とりあえず適当な手元のWEBカメラ

Windowsとかで認識できるドライバー不要な奴であれば大抵大丈夫だと思います。

手元にある普通のWEBカメラをとりあえずRaspberry Piに繋いでみます。なんとかコマンドライン上で画像を取得してSFTPとかで取りに行ってチェックすることもできますが面倒なのでいきなりKlipperから表示できるか確かめます。

Klipperの設定でカメラを追加

設定

設定でカメラを追加します。SettingsWebcamsからRaspberry Piに接続されているウェブカメラをKlipper上で表示できるようになります。

Nameには適当な名前を付けます。 とりあえず俯瞰目線からとっているカメラなのでTOPとしています。URL云々の部分はデフォルトのままで問題ないです。外部メディアプレーヤー(VLCとか)から監視したり静止画を撮りたいときに使えそうですがKlipperから監視するにはそのままでOKです。

設定が完了するとダッシュボードの画面にカメラパネルが追加されてそこにカメラから撮影している映像が映し出されているはずです。

小型のカメラモジュールを追加する

以上でカメラの設定終わり!これで簡単に確認できるね!なんですが、やっぱりちゃんとVORON本体に固定して俯瞰とかで全体を見たいと思いませんか?せっかくこんな美しい筐体があるのできれいに統合されたシステムにしたいですよね。

というわけでMOD部品などを使用しつつ、小型のカメラモジュールを庫内に固定していきます。完了すると先ほどの画像のような感じで、いい感じの位置から庫内からで常時監視できます👀

部品調達

MODのケースを使用する

まずは小型カメラモジュールを調達するのですが、次の章で紹介するMODのカメラケースを前提として進めていきます。他にもLogicoolのカメラ用のマウントやRaspberry Pi用のカメラ(リボンで接続するやつ)用のもありますのでそっちの方がいいやという方はいろいろ検索してみてください。

AliExpressで探す

ではカメラモジュールを探すのですが、上記ページではOV5648OV5640というタイプのものが推奨されているので一旦それで探します。

ケースの作成ページにあるようなのと同じものが出てきました。ちなみにOV5640のほうのページではレビューにてこのカメラケースで装着している人が投稿してくれているので間違いなさそうです。

こっちのほうがちょっと安いですね。

ちなみに自分はコレを使っています。寸法に収まって画素数が極端に少なくなければなんでもOKです。画角は76°ですがビルドプレート付近で撮影する場合はもっと広いタイプのほうがいいかもしれません。

俯瞰で使う場合はAFでもいいかも?

オートフォーカス機能の有無についてですが、カメラを設置する場所ごとに考えたほうがいいかもしれません。

というかAliExpressの商品説明部分からではよくわからんことが多いのですよね。Fixed Focus(固定フォーカス)となっていても実はフォーカスが調整可能(レンズ部分をちょっと捻ると調整できる)なのか、本当に1フォーカスで固定なのかわからない感じなのです。今回のように俯瞰から撮影する場合はオートフォーカスでもそこまで問題がないです。むしろ固定フォーカスの場合は購入時にちゃんと考えないとダメで、一つ購入したのですがちょっとボケているので購入しなおした次第です。

一方でビルドプレート付近などにオートフォーカスカメラを設置するとツールヘッドの移動にフォーカスを合わせようとしてしまい造形物にピントが合わない可能性があります。

この辺のv4l2コマンドを使用すればAFを制御できそうですが現状で満足しているので試せていませんがご参考までに。

カメラケースを印刷する

ケースを印刷します。カメラ本体を収めるケースと表と裏の蓋の3つのモデルが必要となります。俯瞰で撮影するためAngry_CAM_Top_Mount.stlを使用します。蓋のモデルに120+とある方は画角が広いレンズが大きいタイプのものに対応するもののはずです。

使用するフィラメントはABSにします。庫内に設置するためABS印刷などで高温になった場合にPLAは軟化してしまい歪んだりカメラの画角が変わってしまったりします。というか自分が現在PLAで運用しているのですがバックパネルふにゃふにゃになってきています(笑)。まあ別に支障がないので放置でタイミングあればABSで印刷という感じですね。

いわゆるPrint-in-Placeな構成となっているので印刷時の各モデルのクリアランスには注意してください。z_offsetが小さすぎてモデルが太る場合カメラの首振り部分がうまく動かないかもしれません。また蓋も結構ギリギリを攻めた寸法なので閉まらないかも?ABSならヤスリとかで削りやすいので後加工してもOKです。

加工する前に動作チェック

手元にカメラが届いたらとりあえずKlipper上で動作チェックするよりも前にPCに接続して動作チェックを行ってください。AliExpressで買う謎ベンダーの商品なのでちゃんとチェックして不良品であればOpen Disputeをしましょう👀

カメラケースに配線を通す

造形物内部の見えない狭い道に線を通すためちょっとコツが要ります。

手順を確認

ちょっと凝った作りになっていますがカメラマウントのネジ止めする部分はこんな感じで中が空洞になっています。ここにカメラの線を通していきます。

コネクタを外す

ケーブルのコネクタが付いたままでは通すことができないので一旦外します。外す前に必ず配線の色の順番をメモしておくか写真に撮っておいてください。戻すときに順番を間違えると動作しなくなります。

めちゃくちゃ細い線で小さいコネクタですが構造は他のJSTコネクタとかと同じでコネクタ側に付いている返しを持ち上げることで外すことができます。外すには裁縫針のような細いものを使用します。コネクタ側の返しも小さいので破損しないように注意します。

なんとか通す

コネクタを外すことができたら一旦配線全部をマスキングテープなどでまとめて1本にします。1本ずつ通したり4本一気に通そうとしても中でこんがらがって失敗します。断線したらこんな小さい線の被膜剥がしてピンつけて...なんて考えたくもないので慎重に作業します。

まとめたマスキングテープの先端は十分な長さにしておきます。

マスキングテープでまとめた先端を突っ込んでとりあえずケース内部から顔を出させて、それをゆっくり捻ったりしながら引っ張っていきます。無事通すことができたら余分目に引っ張っておきます。

コネクタを戻してフィッティング

最後にコネクタを元の色の順番で戻してカメラに装着、カメラ本体をケースにセットします。セットする際は裏蓋を予め装着しておき、余分目に引っ張っておいたケーブルをもとに戻しながらセットします。

最後に表の蓋を閉じて完成です。中で少しカタカタ動く(固定用のネジ穴が余裕を持った設計になっていることが多いです)ので気になるようであればなにか燃えにくいもので詰め物をしておきます。

動作チェック

最初に動作チェックはしましたが、一旦コネクタを分解したので再度今のケースに収まっている状態で動作チェックをします。配線が間違っていないことを再三確認してPCに繋ぎチェックします。

配線を這わす

設置位置を確認する

配線を始める前にまずはカメラ位置を仮固定してしまいます。今回の場合は庫内の上部に設置します。

ここからだとビルドプレート全面を見ることができます。造形物の細かい部分を見ることはできませんが剥がれたりもじゃったりしている場合は確認できます。

長さチェック

ココから配線の長さがRaspberry PiのUSBポートまで届くかを確認します。基本的な流れはZコーナー → Z軸を通って下へ → Zベルトの穴から裏へ → Raspberry Piという流れになるかと思います。

私が購入したものの線の長さは1mであまり余裕はありませんでした。加えてUSB延長ケーブルを使用すると映像が映らなくなる機械的問題が発生する可能性もあるので長さが届かない場合はもっと近い位置に移動する必要があります。

Raspberry Piの位置を変更するのも手かもしれません。幸い電源とOctopus ProとモニターへのHDMIやUSB接続という扱いやすい配線しかないので最寄りのZベルト入り口に近づけてしまうのもアリです。

試してはないのですが、延長ケーブルを介する時に大きくノイズが乗ってしまうのであれば、配線をぶった切ってはんだ付けして延長した場合はどうなるんですかね...?だれか結果報告お願いいします!

Zコーナーをなんとか回避

長さが十分にあることが確認できたら配線していきます。カメラ固定位置を出てZベルトの上の方まで来たら以下のMOD部品を使用してコーナーの配線をいい感じに仕上げます。

見にくいですが、コーナー部分に配線を留めるパーツを追加しています。LEDの線もあとから追加するのでちょっと手狭ですが何とか収めることができます。

フレーム内に配線を入れ込む

Zコーナーを回避できたら下までアルミフレームの凹み部分を利用して落としていきます。配線隠しとしてこのカバーを使用するときれいに仕上がり配線がバタついたりもしません。

以前も挙げましたが今後もいっぱい使うかもしれないので長めにいっぱい印刷しておいてもいいかもしれません。長すぎる場合はニッパーとかで切ります。ABSで印刷すると先端が細かすぎて逆に脆くなるのでPLAやPETGで出力します。

Zベルトから裏に回してRaspberry Piに接続

Zベルトの穴を利用して裏側にケーブルを落とします。ココもMOD部品を使用するとアルミフレーム内部から直接カバー裏に出せるのできれいに仕上がります。

ケーブルを下に落とした後は、Zベルトに接触しない方向にケーブルを避けつつRaspberry Piまでの配線を固定します。

完成

Raspberry PiのUSBに挿してKlipper上でカメラの設定をして完成です!これでPCから状態を簡単にチェックすることができるようになりました。ちなみにKlipperでは(Fluiddでも)2台以上設置できるそうなので、もう一台をビルドプレート付近に設置しようかと思っています。最初に固定フォーカスのを買ったのですが画角が広すぎたのでちょうどいいかもしれません。

BTT Piを使用している場合はRAMやCPUがRaspberry Pi 4よりも貧弱だそうので動画のフレームレートが下がるかKlipper自体の動作が不安定になるかもしれません。

問題点

カメラから確認することができるようにはなったのですが以下の問題点があります。

  • 家の外からは依然として確認できない。
  • 夜間や部屋が暗いときにはカメラから確認できない。

次からはそれらを解決するための環境構築を進めていきます。

次の記事

次回は自宅LAN外からVORON(Klipper)を監視するためのソフト(Obico)についてです。

VORON 2.4 R2 ビルドログ (29 - KlipperScreenの設定)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事では、BTT HDMI5をVORONにセットしてKlipperScreenの設定を行います。コレをもってしてSIBOORのVORON2.4 R2 Aug Update Kitを完成としたいと思います。

前の記事

前回は装飾部品を作って装着しました。スクリーン用の部品もそこで印刷しているのでまだの方はご覧ください。

部品の取り付け

マウントにディスプレイを固定する

まずはディスプレイの準備ですがコレもココまで来た人なら楽勝です。ディスプレイの保護フィルムはまだ剥がさずボタンの位置を確認して固定 → ブラケットも固定して最後にVORONの前面中央に固定します。自分はSIBOOR付属のマウントではなく適当に探してきて使用しました。

ケーブル類の用意

USBケーブルはキットに付属しているのでHDMIケーブルを追加で用意します。

HDMI端子の変換は使わない方がいい

品質の問題かもしれませんが、自分の環境では両端とも普通のHDMIケーブルに変換端子を噛ませてRaspberry Piに接続するとうまくいきませんでした。ので極力もとから普通のHDMI - マイクロHDMIとなっているケーブルを用意したほうがいいかと思います。

KlipperScreenの設定

画面を表示させるためにKlipperScreenというものをインストールします。Raspberry Pi上での作業となります。

ドキュメント

KlipperScreenのドキュメントは以下となります。

インストール(KIAUHから)

KlipperScreenをインストールするためにはKIAUH(Klipper Installation And Update Helper )というまた別のスクリプトを使用します。以下のページに作業手順があります。

KIAUHがあればKlipperScreenのインストールだけでなくKlipper本体やその他アプリのインストールとアップデートをコマンドライン上で簡単に行うことができますので今後も使用されると思います。

まずはRaspberry PiにSSH接続してコマンドを入力できる状態にします。準備ができたら以下のコマンドを実行します。Githubのリポジトリをコピーしてきます。

cd ~ && git clone https://github.com/dw-0/kiauh.git

ダウンロードが完了したら以下のコマンドを実行してKIAUHの画面を表示します。

./kiauh/kiauh.sh

画面が表示されたら1) installを実行するために1と入力します。Perform actionに表示されると思うのでエンターキーを押します。

5と入力してエンターキーを押すとインストールが実行されるので完了するまで待ちます。

設定の追加

インストールが完了したらprinter.cfgに設定を追加します。追加する場所はどこでもいいのですが、 printer.cfgの設定は現状以下のような配置になっていると思います。

プリンターの設定
...
...
...
★

マクロの設定
...
...
...
◆

SAVE_CONFIGで自動生成された内容
...
...
...

今回の設定内容はプリンターの設定に属するのでその群の末尾(★マークの位置)当たりに追加しておくとあとから見たときにスッキリします。以下の内容を追加します。

[virtual_sdcard]
path: ~/printer_data/gcodes
[display_status]
[pause_resume]

マクロの追加

最後にKlipperScreenから実行できるマクロを追加しておきます。PAUSERESUME_TOOLHEAD_PARK_PAUSE_CANCELはもとからあるので以下を追加します。

[gcode_macro LOAD_FILAMENT]
variable_load_distance:  50
variable_purge_distance:  25
gcode:
    {% set speed = params.SPEED|default(300) %}
    {% set max_velocity = printer.configfile.settings['extruder'].max_extrude_only_velocity  * 60 %}
    SAVE_GCODE_STATE NAME=load_state
    G91
    G92 E0
    G1 E{load_distance} F{max_velocity} # fast-load
    G1 E{purge_distance} F{speed} # purge
    RESTORE_GCODE_STATE NAME=load_state

[gcode_macro UNLOAD_FILAMENT]
variable_unload_distance:  50
variable_purge_distance:  25
gcode:
    {% set speed = params.SPEED|default(300) %}
    {% set max_velocity = printer.configfile.settings['extruder'].max_extrude_only_velocity  * 60 %}
    SAVE_GCODE_STATE NAME=unload_state
    G91
    G92 E0
    G1 E{purge_distance} F{speed} # purge
    G1 E-{unload_distance} F{max_velocity} # fast-unload
    RESTORE_GCODE_STATE NAME=unload_state

これらはマクロなのでマクロ群の末尾に追加します(の位置)

再起動して表示

設定が完了したらRaspberry Piを再起動してみます。再起動しなくても表示されているかもしれませんが、一応。以下コマンドを実行して再起動します。

sudo reboot

何もしなくても画面が表示されるはず

再起動を実行して、起動フェーズに入ると虹色の画面やRaspberry Piのマークがある画面とログ文字列が表示されると思いますが、そのまま放置します。1分ぐらいするとKlipperの画面が表示されます。

画面回転と明るさ調整はモニター本体ボタンから

画面の向きが180度逆になっている場合はスクリーン本体の真ん中のボタンを押すと回転することができます。左右のボタンは画面の明るさ変更となります。ちなみに画面の明るさを最小にすると消灯するので注意してください。

タッチして動作チェック

無事各種温度などが表示されたら色んなところをタッチしてみて動作チェックしてください。画面左下に常に表示されている赤いボタンは緊急停止用のボタンです。

印刷中もFine Tuningのボタンからz_offsetを簡単に操作することができるので便利ですね!

消費電力のバグ?

Raspberry Piが起動しない事がある

ここまで正常例を紹介していますが、自分の環境では最初うまいこと画面が表示されないどころか、HDMIケーブルを繋いでいるとRaspberry Piの起動が完了せず使用できないという致命的な現象に悩まされていました。HDMI5を接続しているときというわけではなくHDMIケーブル単体で挿しただけで発生するので余計に謎な現象です....

起動できない場合、最初のログが表示される段階で6秒ぐらいの時点でそれ以降のログが出力されなくなります当然ネットワークの起動などの処理も行われないのでSSH接続もできません。

国内外でも同様の報告あり

調べてみると同様の現象(HDMIケーブル/モニターをつなぐとRaspberry Pi 4が起動しない)が結構発生しているようです。特に以下の記事が日本語でまとめてくださっています感謝!

ざっくり見た感じHDMIを接続している場合は起動時にそっちの方に電力が持ってかれて何らかのRaspberry Pi ボード上のモジュールを起動する電力がなく、全体的な起動も完了しないためではないのかという感じです。

HDMIポートを変更すると何故か起動する

とりあえずいろいろ試してみたりしました。起動した後にHDMIケーブルを挿す。起動時には画面の輝度を最小にしておくなど....。結果としてどれもうまくはいかず、試しにRaspberry Pi上のもう一つのHDMIポートに挿してみるとあっさり起動しました👀。全く持って謎すぎる...

なのでHDMIケーブルを挿さなければちゃんと起動して、挿すと起動ログの途中で止まってしまう場合はHDMIポートを挿し替えて試してみてください。

未だに解決できてないですがとりあえず動くからOK

結局原因はわからないままなのですが、HDMIケーブルをちゃんとしたメーカーのものにすると解消するという解決策が一番多い気がしました。今使ってるのはAmazonベーシックなのですがエレコムのやつとかを使ってみたほうがいいのかもしれないですね。

一ヶ月に1回ほどVORONの主電源を落としたときに稀に発生するのですが、HDMIケーブルを挿す箇所を変えると今のところ順調なのでとりあえず放置で行きます。

ついに完成!!!!!

これにてようやくキットにあるほぼすべての部品をセットすることができました。最後にアンダーパネルが残っているかと思いますが個人的にコレはメンテナンスがしにくくなるので不要かなと思っています。必要であれば公式ドキュメントにしたがってパネルマウントの設置を進めてください。

次の記事

最後に完成したまとめと個人的なこの連載の感想となります。ココまでおつかれさまでした。

VORON 2.4 R2 ビルドログ (28 - 残りの部品を印刷)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事では、VORONの基本的動作に関係ない部分のアイテムを印刷していきます。このままでも十分使えますがせっかくなので完璧に仕上げていきましょう!!

前の記事

前回はABSフィラメントを使用して機構部品のスペアを作成しながら調整を進めました。

印刷設定

装飾部品は基本的にPLAでも問題ない

機構部品は前回のようにABSフィラメントを使用したのですが、耐久性や耐熱性の理由からABSでの出力が必須でした。しかし装飾部品(特に大部分を占めるのはスカート)は基本的にカバーだったり文字通り装飾のためにあるので強度を必要としません。

そして前回も説明したようにABSフィラメントは扱いがPLAよりかなり大変です。特にスカートは大きいので印刷失敗する可能性も高く失敗時のコストも大きくなってしまいます。

印刷設定はちょっと軽めでもOK

ABSで機構部品を印刷したときの設定は以下でした。

設定名 和名
Layer Height レイヤーの高さ 0.2mm
Extrusion width 線幅 0.4mm
Infill percentage インフィル率 40%
Infill type インフィルのタイプ grid, gyroid, honeycomb, triangle, or cubic
Wall count 壁(Perimeter)の枚数 4
Solid top/bottom layer トップ/底面の枚数 5
Support サポートの有無 No

再度になりますが装飾部品は耐久力などを必要としないものなので以下ぐらいまで設定を落としてOKです。フィラメントと出力時間の節約になります。

設定名 和名
Layer Height レイヤーの高さ 0.2mm
Extrusion width 線幅 0.4mm
Infill percentage インフィル率 15%
Infill type インフィルのタイプ grid, gyroid, honeycomb, triangle, or cubic
Wall count 壁(Perimeter)の枚数 4
Solid top/bottom layer トップ/底面の枚数 3
Support サポートの有無 No

Wall countの数はそのままにしておきます。スカート部品に多数のヒートセットインサートを埋め込むためです。壁の枚数が少ないと埋め込んだときにぐんにゃりしてしまいナットが歪みやすくなります。

各パーツ

パーツ名末尾のx数字はその個数分必要ということです。パーツ名頭の[a]はアクセントカラーで印刷するという意味です。

スカート

スカート部品です。VORON本体の大きさによって必要なパーツの大きさが変わるので350mmの場合は350というフォルダ内のファイルを選択します。以下のファイルは今回必要ないです。ファンカバーとドライブカバーがあればOKです。

  • [a]_btt_knob_light_shield.stl
  • [a]_keystone_blank_insert.stl
  • [a]_mini12864_case_front_insert.stl
  • [a]_mini12864_case_hinge.stl
  • keystone_panel.stl
  • mini12864_case_front.stl
  • mini12864_case_rear.stl
  • power_inlet_IECGS_1.2mm.stl
  • power_inlet_IECGS_1mm.stl
  • power_inlet_filtered.stl

ベルトカバー

Panel Mountingというフォルダの中にZベルトの穴のカバーがあるのでそれも印刷します。(z_belt_cover_ab_x2.stl

ただ、見た目がちょっとかっこよくないのと、ここから裏側に配線を落とすために自分はMOD部品のコレを使っています。

KlipperScreen用パーツ

SIBOORキットに付属している5インチディスプレイ(BTT HDMI5)用のマウントを作成します。

www.printables.com

キットにマウントが付属していると思いますが、ロゴが入っていたり設計がイケてなくてどう頑張ってもきれいに印刷できそうにないので別途作成します。

KlipperScreenの取り付けと設定は次回行います。

配線用部品

現在急を要して必要というわけではないですが、後々カメラを設置したりLEDを設置するときに配線を隠すために必要となるので作成しておきます。

アルミフレームの溝に配線を落とし込んで隠すために必要です。あとは底面のアルミフレーム溝にフィラメントの破片やゴミが入らないようにカバーとしても使用できるのでいっぱい印刷しておきます。長さはとりあえず長めに印刷してあとからニッパーとかで切ればOKです。この部品に関してはPLAかPETGで印刷したほうがいいです。ABSだと爪の部分が逆に脆すぎて使い物になりません。

組み立て

部品が全部印刷できたらVORONの電源をオフにして作業できるようにしておきます。天地ひっくり返してしまったほうがスカートの作業はやりやすいです👀

手順通り進める

ココまで組み立てた方であればVORONの構造とドキュメントの読み方はわかっているので、あとは手順通りと雰囲気でMOD部品まで取り付けられると思います。ので割愛。

ベルトカバーに注意

ベルトカバーに関してはちょっと注意が必要です。

VORON組み立てのいっちばん最初の方の手順で、Z軸のリニアレールしたに数ミリ隙間を開けておきましょうという記述があります。狭すぎるとベルトカバーを差し込む隙間がなくて装着することができません!

ここでいかに最初の方にちゃんとクリアランスを持ってリニアレールを設置できていたかわかる伏線回収ですね!自分は全部だめでした!!!!!!

ここからリニアレールを動かすとなると組み立てるよりも大変な気がするので自分はとりあえずモデルの高さを縮めてなんとかスライドインできるようにして事なきを得ました。ケーブルがちょっとつっかえるけど見た目は問題ないのでOKとしましょう。次もし組み立てることがあれば教訓として生かしたいですね👀

Tナットで止めるのですがアクリルパネルを取り外して作業しないと難しいです。

次の記事

次の記事ではKlipperScreenの設定をします。それを持ってしていよいよ完成となりますので30回目はまとめ記事となります!その後は追加MOD(カメラなど)や調整についてまだまだ書けることがいっぱいです。。。

VORON 2.4 R2 ビルドログ (27 - ABSで機構部品印刷と調整)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事では、ABSフィラメントを使用して印刷と調整を進めていきます。前回アクリルパネルを貼ることができたのでこれで庫内を温めながら印刷することができるようになりました。

前の記事

前回はフィラメントのガイドを作成しました。

ABS印刷の準備

環境が整ってきたのでABSで印刷してみます。

フィラメント

当然ですがPLAではなくABS用のフィラメントが必要となります。SIBOORキットが使用しているフィラメントはeSUN ABS+とのことなのでそれを使用すると現在の部品との色味を完全に揃えることができます。PLAもそうですがeSUNのフィラメントは個人的にベストな価格と扱いやすさなのでメインで使用しています。ただしコールドホワイトだけは使用しないほうがいいです。自分も知らずに買ってしまったのですがこの色だけは誰が使っても上手く行かないようです👀。

ケープは必需品

ABS印刷との戦いは1層目の反りとの戦いと言っても過言ではないです。PLAよりも収縮が激しく1層目が剥がれて動いてしまったり、庫内が十分温まっていないと層間結着が弱く割れてしまったりすることが多々発生します。

設定だけではどうにもならないこともあるので、失敗率を下げるためにビルドプレートに接着剤を塗る手法は結構昔から存在しているようですが、日本にはケープという強い味方がいます!!!自分も高校生時代に使ってたり妻は今でも使用してるので定番商品ですね。なくなってもドラッグストアに行けばどこでもおいています👀!しかも3Dエクストラキープといううってつけの商品バリエーションもありますし...笑

自分はスーパーハードのものを使用しています。張り付きが強すぎで剥がすのに苦労するぐらい

金属スクレーパーもあったほうがラク

Zオフセットが過小な状態で印刷すると非常に強くビルドプレート面に張り付くため、ビルドプレートを曲げたぐらいでは外れない時があります。はずれないというか2層目以降から裂けるという感じでしょうか...

そういうときに剥がすためには先端が刃物になっている鋭いスクレーパーが便利です。あまり強くビルドプレートに押し付けてしまうと傷つけるので取り扱いには注意です。

一箇所でも剥がすことができればあとはビルドプレートを曲げれば一気に剥がれます。

スライス設定

公式の設定に従う

スライスの設定をVORON Design公式のものにしてABS部品を印刷していきます。今までに作成したフィラメントガイド等は印刷品質に影響しないものだったのでどんな設定でも良かったのですが、ボルトで締め込んだり力のかかる部分になるので設計上の正しい設定で印刷します。

公式の設定は以下のとおりです。

設定名 和名
Layer Height レイヤーの高さ 0.2mm
Extrusion width 線幅 0.4mm
Infill percentage インフィル率 40%
Infill type インフィルのタイプ grid, gyroid, honeycomb, triangle, or cubic
Wall count 壁(Perimeter)の枚数 4
Solid top/bottom layer トップ/底面の枚数 5
Support サポートの有無 No

Extrusion Widthに関してはPrint SettingsのAdvancedタブ内から変更できます。0.4mmノズルのプロファイルを使用している場合は多分すべて0.44mmとかになっているはずなので0.4mmにします。

インフィルのタイプは挙げられているものならなんでもOKですが自分は模様が好きなのでGyroidを基本的にどのモデルでも使用しています。

Wall countは印刷物の外周の数ですがPrusaSlicerではPerimeterとして表現されています。

VORONの公式パーツはすべてサポート不要で印刷可能です。MODも基本的にはそれを踏襲してみなさんサポート不要な形状で作成されています。

設定を変更したら保存しておきます。デフォルトの設定はそのままに別名の設定で保存したほうがいいです。

ちなみに私はVORONの機構部品以外の部品をこの設定からPerimeter3にして、Solid layerをどちらも3にし、Infill %15にしたものを使用しています。大抵の印刷物もこの設定を使用して印刷しています。

スピードはとりあえずプリセット

Speedタブから印刷のいろんな状況での速度を変更することができますが、とりあえずデフォルトのままで進めます。この辺の値は使用しているフィラメントはノズルによってまちまちなので自分の環境で試してみてください。InfillやPerimeterのスピードはデフォルトよりももっと速くてもいい気がしていますが。

Input Shaperの調整

次にInput Shaperの調整を行います。Input Shaperとは何だ?という方は以下のtakeotaさんの記事でとても詳しく書かれています。

SB2209に内蔵されているので楽ちん

今回のSB2209を使用したキットの場合、すでにボードにADXLモジュールがついているので追加設定不要で即調整することができます。以下のコマンドをKlipperで実行するとX軸とY軸が振動して計測が開始されます。

SHAPER_CALIBRATE

両方の軸で完了したらSAVE_CONFIGして保存します。

壊れる前に印刷しておく

じゃあABSで何を印刷しようとなるのですが個人的な強いおすすめはTAPの土台部分で、その次にStealthBurnerの部品下半分もしくは全部です。

TAP部品

TAPの土台部分(リニアレールが乗っているやつ)は正直言ってめちゃくちゃ壊れやすいです。リニアレールと部品を締結する部分の一番上のボルトの部分が非常に薄くかつサポート上に出力されているためさらに強度が落ちています。とはいえココをしっかり締め込まないとリニアレールがぐらつくようになりTAP動作時に大きな誤差を生じるようになります。

動かし始めてから1-2ヶ月でこの部分を2回ほど交換することになりました... あまりにも交換頻度が高いのでAliExpressで売っているCNC部品に換装することになりますがそれはまた別記事です。

X上で見ている限りでも数人この部分を壊しかけている方を見ています。VORON関係の動画をいっぱい上げてるNEROさんも動画上でぶっ壊してます笑

www.youtube.com

なのでまだちゃんと動いているうちにこの部品を2-3個印刷しておくと安心です。壊れたら自分で作って取り替えればいいというのが自作プリンターのいいところですが、ココが壊れたら印刷できなくなりますからね。。。ABS印刷のできるプリンターがない場合はこれを真っ先に作成することをオススメします。

モデルはVORON TAPのリポジトリから取ってきてもいいですが、SIBOORのリポジトリ内にもキットに含まれているものはあるのでそこでもOKです。

[a]_Tap_Center_r8.stlというファイル名のものがそれです。

StealthBurner部品

StealthBurnerの部品も問題が発生しやすい部分なので作成しておくと安心です。特にホットエンド部品を乗っける下の部分は印刷失敗してお化けが産まれてしまったときにどうしようもなくなる事があるのでおすすめです。ちなみにお化けとはコレのことです。

コレもまたいずれまとめると思いますが、この事件で新たにホットエンド全部とStealthBurner下半分、TAPほぼ全部を取り替えることになりました😭

印刷

それではABSフィラメントで印刷してみましょう。暖気以外の基本的な作業はPLAとかとさほど変わらないです。

暖気をしっかり行う

PLAでの印刷と大きく異なる点は出力時にビルドプレートと庫内の温度を高温に保ち続ける必要があります。というか庫内の温度を維持するためにビルドプレートも常に高温状態となります。

印刷開始前にVORONの前側ドアを閉めた状態でビルドプレートを100℃に設定してしばらく放置します。時期によりけりですが真冬で室温が低い場合は30分ほど部屋の暖房がてら放置します。初期のSIBOORのprinter.cfgでは30分放置するとヒーターをオフにするので気をつけてください。

さらに暖気をしたほうが金属の熱膨張やリニアレールのグリスの温度などを考慮するとより精度よく印刷することができます。

ケープを塗る

ビルドプレートが温まっている状態でケープを塗る方が定着が良くなる気がします。100℃まで温まっているビルドプレートなので取り外す際は必ず軍手やタオルなどで掴むようにしてください。というかそうしないと熱すぎて耐えられません!

ビルドプレートから適度に離れたところから1-2秒スプレーします。全面に塗ってもいいですがスライスした時点でおおよそどのあたりだけ使用するかわかるのでそれを参考にしたほうが節約できます。

ビルドプレート面が水を撒いたようにテカテカするぐらいまで塗ってしまうと多すぎるので素のビルドプレートの質感が残る程度でOKです。想像よりも少なくてもしっかり密着します。

ケープを吹きかける際は必ずビルドプレートをVORON庫内から出して吹きかけてください。面倒だからと庫内で直接吹きかけると霧状のケープが漂い、回転しているファン(ノズルファン、パーツクーリングファン、Nevermore等)に付着して蜘蛛の巣みたいな糸状になって絡みつきます。最終には風量の低下や回転できなくなったり見た目のよろしくないです。

印刷開始して1層目をチェック

印刷を開始して1層目の状態をチェックします。PLAと違って糸引きが殆どなく加熱したノズル先から垂れてくる(oozing)こともないです。

パッと見問題がなくても、1層目の定着が弱いと層を重ねていく内にいずれ剥がれてくるのでPROBE_CALIBRATEを実行するかFine Tuningから微調整を行ってz_offsetをベッドへと近づく方向へ調整します。個人的に以下の項目で定着度を判断しています。

  • スカートを爪で引っ掻いてみると簡単に取れる
  • ノズルに溶けたフィラメントがくっついてビルドプレートに乗らない(ABSではあんまりないかも)
  • perimeterの線がうまく描けていない(特に鋭角な地点)
  • infillに隙間が見える
  • infillが波状に裂ける
  • infillとperimeterの境目(移動が折り返す地点)に隙間があってビルドプレートが見える

特に太字になっている箇所がわかりやすいのでよくチェックします。直角や鋭角な地点でうまくビルドプレートに乗らず剥がれる場合はノズル温度を少し上げてみるといいかと思います。

ちなみにさっきのTAP部品の左側、これはビルドプレートが透けて見えてたり、線がなんとなくふにゃふにゃしているのでよろしくない状態となります。

逆にz_offsetがビルドプレートに近すぎる場合、以下の現象が起きます。

  • ビルドプレートとノズルがこすれる音がする、擦れる跡つく
  • スカートの出力幅が明らかに設定幅よりも太い
  • スカートのフィラメントの色が薄い(半透明に近くなる)
  • スカートの3-4週目ぐらいからなんかギザギザした線になってくる
  • infillも途中からギザギザした線になってくる
  • クリアランスの狭いモデルで、オブジェクト間の隙間が埋まってしまう
  • ツールヘッドが印刷以外で移動するときに造形物と擦れる音がする

これらの症状が出ている場合でも印刷し切ることができますが、1層目の見た目が悪くなったりビルドプレートから剥がすのに苦労することになります。また、各所のクリアランスが狭くなりネジや部品同士を組み合わせようとしてもはまらないという状態になります。

こういったz_offsetのズレやフィラメントごとの特性を見極めるためにスカートを最初に出力してみるのがオススメです。

出力後

無事にABSでの出力が完了したら寸法通りか、層間での裂けがないかチェックします。TAPの土台の場合はネジ何かを通してみてチェックします。

ビルドプレート面には1層目とくっついていた箇所以外にはケープののりが残ったままになりますので、無水エタノール・IPAか自動車用のパーツクリーナーあたりを吹きかけて拭います。自分は面倒なんでそのまま次のケープを塗って印刷してしまいますが、特に致命的な問題にぶち当たったことはないです。

次の記事

そろそろこの長い旅路にも終りが見えてきました!残りの部品(スカートなど)を印刷していきます。

VORON 2.4 R2 ビルドログ (26 - フィラメントとCANケーブルガイド)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事では、StealthBurnerからフィラメントスプールへの経路とCANケーブルの処理を行います。

前の記事

前回はアクリルパネルを装着するところまで進めました。

PTFEチューブを支えるガイドを印刷

VORON MODS

MOD部品なのでなくてもOKですが、これがあるとチャンバー内のPTFEチューブの動きをある程度抑制することができます。自分の環境だけかもしれないのですがこれがないとQGL時にチューブがアクリルパネルに当たって誤差が生じQGL失敗することが多々あったため追加しました。PTFEチューブよりももうちょっとやらかい素材のチューブがいいのですがいいのないですかね???ボーデン方式でもないので硬さが必要ないと思うのですが👀

フィラメントはPLAで当面問題ないですが、ABSで印刷したりすると庫内温度が上がり若干しなるようになります。ABS印刷できるようになったらこの部品も取り替えたほうが無難です。

ちょっときついので穴を拡げる

印刷できたら試しにPTFEチューブを穴に通してみてクリアランスが確保できているかチェックします。おそらく結構きついか入らないと思うので、その場合は4mmのドリルビットで穴を拡げます。

通ることが確認できたらエキゾーストカバーの上のアルミレールに装着します。

経路を考えてPTFEチューブを切る

フィラメントスプールからStealthBurnerまでの経路分PTFEチューブを用意します。基本的には2本必要でフィラメントスプール〜エキゾーストまでとエキゾースト〜StealthBurnerまでです。SIBOORキットについてくる分で足りない場合はAmazonあたりでお好きなカラーのものを補充します。

フィラメントスプールの位置を考える

まずはスプールを設置する位置を決めます。個人的にはフロントドアの干渉しない手前側の位置が一番作業しやすいかと思います。特に狭い場所に設置する場合は奥の方にフィラメントを設置すると手が届かなかったり設置できてもチューブ内にフィラメントを挿入するのが難しかったりするので...

現在使用しているSIBOORのキットのフィラメントホルダーは縦軸用なのでそのまま装着するとドアと干渉すると思います。横軸のアルミフレームに装着できるタイプのモデルもあるのでそれを使用するとこんな感じでいい位置に収めることができます。

[x2umK6ZcG6l2c5EEM2LQjQ:embed]

ガイドをいくつか用意する

エキゾーストまでのチューブを固定するために3-4個用意しておきます。SIBOORキットには1つだけ含まれています。

これもチューブを通してみて通しにくい場合はドリルビットで拡げます。それでも厳しい場合はシリコンスプレーなどで滑りをよくして通します。

エキゾーストまでの経路を作る

以下の位置に仮決めでガイドを設置していきます。

  1. フィラメントからある程度離れた位置(フィラメントの挿入口)
  2. 曲がり角の始まり
  3. 曲がり角の終わり

1のガイドを設置してチューブは一旦装着せずにフィラメントを穴に通してみてフィラメントが辺に折り曲がったりせずリラックスした状態で通せる位置にセットします。急激に曲がりすぎているとフィラメントに癖がついたりしてエクストルーダが引っ張る抵抗となり印刷不良の原因となります。

1の位置が決まったらPTFEチューブをそれぞれ通していきます。最後まで通せたらエキゾーストに装着したコネクタに装着します。この時点である程度の長さが決まるので少し余裕を持たせてチューブを切ります。

フィラメントを通してスムーズに通ること(チャンバー内から引っ張ってみてつっかかるとかないか)をチェックします。特に曲がり角のあたりや3からエキゾーストまで(高さが若干合わないのでS字になる)に注意します。

すべてOKであればチューブを1のガイドから数ミリ飛び出るぐらいで切ります。こうすることでチューブへのフィラメント挿入が片手で格段にやりやすくなります。

Z軸を一番下、XY原点でつっぱらない長さにする

次にチャンバー内のチューブを用意しますがこれはそこまで難しくはないです。

まずは一番チューブの長さが必要になる位置にツールヘッドを移動します。Z軸を1mmぐらいの高さにしてXYを0 の位置(左手前)にします。この位置からチューブがつっぱらない長さでエキゾーストまでの長さでチューブを切ります。途中に印刷したガイドを通すのを忘れないようにします。

チューブの断面をできるだけ真円にしておく

最後に各チューブの断面を整えておきます。ニッパーやカッターで切るとどうしても断面が潰れて毛羽立ってしまいます。特にエキゾースト内のチューブ入り口の箇所がフィラメント挿入時に引っかかりやすいので重点的に修正します。

おそらくキット品の中に洗濯バサミみたいな機構の一枚刃のカッターが付属しているはずなのでそれを使用するときれいに切ることができます。

CANケーブルをチューブに固定する

スパイラルケーブルやタイラップで固定する

最後にチューブにCANケーブルを固定します。すでにワイヤーなどで固定できている人は無視してください。タイラップなどで固定してもいいですがスパイラルケーブルを使用すると見た目がいいかもしれません。

チェック

これですべて完了したのであとは動作チェックです。

干渉チェック

ツールヘッドを各地点に動かしてみてチューブがつっぱらないかチェックします。Z軸の高さも一番高いところまで上げてみます。

ホーミング、QGLを実行してアクリルパネルに当たったりホーミングの邪魔にならないかをチェックします。もしパネルに当たる場合は当たる方向の逆にフィラメントのガイドを向けると解消します。

フィラメントを押し出せるかチェック

フィラメントを通してエクストルーダーから押し出すことができることをチェックします。もしうまくできない(エクストルーダーのギアがフィラメントを削ってしまう等)場合はどこかでフィラメントに大きな負荷がかかってスムーズに動けなくなっているはずですので解消します。

次の記事

次の記事ではABSで印刷しながら各種調整を続けていきます。

VORON 2.4 R2 ビルドログ (25 - アクリルパネルの設置)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事では、全面をアクリルパネルで覆えるようにします。途中でVORON MODSのPrintable snap latchesを作成します。四方を囲むアクリルパネルを固定するためのアイテムですが、これを使用したほうがパネルの脱着がスムーズになりメンテナンスしやすくなります。

パネルの準備

まずはアクリルパネルの下準備です。3枚の透明なアクリルパネル2枚の小さいパネルと2枚の黒いパネルがSIBOORキットではあります。黒いパネルはの形になっている方だけを使用します。もう一つは底面の保護パネルですので後で使います。

ビニールを剥がす

傷防止用の保護シールが貼ってあるので剥がします。

すきまテープを貼る

それぞれのアクリルパネルの4辺に隙間塞ぎ用のスポンジテープを貼っていきます。スポンジテープには2種類の厚みがあるので注意してください。自分は間違えて貼ってしまったので一旦全部剥がして適当な百均で買ったスポンジテープを貼りました👀。

ドア部分にはすきまテープはありません。

パネルラッチの作成

次にパネルを固定するための部品を作成します。VORON公式のものだと扱いにくいのでMOD部品を使用します。

VORON MODSのページ

該当のページはここです。Printablesの方にもファイルがあるようです。

深さをチェックする

ファイルをダウンロードしてみると複数種類のファイルがあると思います。これはアルミフレームに刺す足の長さが1mm刻みに用意されているためです。計算方法としてはパネルの厚み + クッションの厚み - 0-3mmほどとなります。パネルと密閉するためのクッションテープ分の厚みから、パネルを押し付けたときにクッションが縮む分を考慮して決めます。よくわからない場合はとりあえずそれっぽい厚みのものをいくつか出力してキツさが一番しっくりくるものを量産するといいと思います。

印刷設定

印刷設定はVORON公式の機構部分の設定で十分です。Perimeterが薄すぎたりすると結構力のかかる部分なので割れます。

フィラメントの素材はABSが最適ですが、高温・造形に影響のある部分ではないのでPLAでもOKです。PETGのような表面の摩擦が大きい素材の場合、あとから造形物の中にフィラメントを通すのですがそれが大変かもしれません。

パーツが3つあり、それぞれがかなり近い位置に配置されているため、z_offsetが最適でないと引っ付いて しまう可能性があります。それぞれに分解して出力してもいいですが1層目がくっつくぐらいの精度だとフィラメントを通す穴も小さくなり入らないです。キャリブレーションがてら頑張って調整してみてください。

パネル1面につき、4つは最低限必要です。自分はこのようにして4つで固定しています。多いほど密着性は上がるかと思いますが外すのも大変ですし。。。

組み立て

組み立てはそこまで難しくないですが、全てのパーツを組み合わせてからフィラメントを中に通して固定する必要があります。穴がちょっときつすぎる場合は印刷設定を見直すか2mmのピンバイスやドリルで穴を広げます。フィラメントはきっちりの長さに切って入れるよりも、長めに用意して完全に差し込んでから余分な部分を切り取る方が楽でした。

アルミフレームに組み付けて留めてみる

最後にアルミフレームにTナットとM3ボルトで組み付けて完成です。

ドアの設置

次にドア部分を作っていきます。

部品作成

ドアの留め具・ヒンジ・ノブ部分は機構部品のみのSIBOORキットにはついてこないので作る必要があります。VORON公式のモデルファイルはココにあります。

4つモデルがあり、各モデルの末尾にx6のような数字が振ってあります。この数字は必要個数なので6個必要という感じです。

ABSで印刷するのがベストですが、ラッチのときと同じように高音になる部分でも印刷品質に関係ある部分でもないのでPLAで十分です。

完成したらヒンジの部品以外にはそれぞれマグネットを仕込む必要があります。

先にヒンジを設置してそれに合わせてペタリ

フレームに設置するにはまず3個ずつヒンジを設置して、ドアをマグネットで固定した状態で両面テープを貼り付けるのがいいかと思います。貼り付けたあとに開閉動作がスムーズ化チェックして上下どこかが引っかかるようならヒンジの位置を調整します。

パネルに関する他の部品も印刷する

あと2点だけパネルに関する部品を印刷します。これらもPLAで問題ない箇所です。

背面のパネル

背面パネルの凹んでいる部分にハマる部品を作成します。なくてもいいですが。

exaust_fillter_grillがそれです。

エキゾーストカバー

VORONのチャンバー内を換気するためのファンとフィラメントの挿入口のためのカバーを印刷します。先程のリンクのexaust_fillter_grill以外のファイルです。[a]となっているものはアクセントカラーで印刷すると映えるやつですが何色でもOKです。

手順通りに組み立てます。PTFEチューブをセットする貫通ボルトのようなものは締め込みすぎるとエキゾーストのケースを割ってしまうので程々にしておきます。

公式のエキゾーストカバーを使用するとフィラメントが後方から飛び出る形になるので少し場所を取ります。壁際に設置するときにちょっと注意が必要です。MODで横出しにしているやつやそもそもエキゾーストカバーなしにするやつもあるので設置場所と相談して決めてください。自分は結局エキゾーストの必要性を感じなくて(Nevermoreもあるし)取っ払おうとしてます。

次の記事

つぎはフィラメントガイドとCANケーブルの固定について進めます。

VORON 2.4 R2 ビルドログ (24 - プリント開始)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事では、いよいよ初めてプリントしてみます!多くの方は2台目以降にVORONを選択される方が多いと思いまが念のためスライサーの設定などについて触れておきます。

前の記事

前回はベッドメッシュ測定とPrusaSlicerのインストールを行いました。

PrusaSlicerの設定

現状のSIBOORのprinter.cfgだとPrusaSlicerの出力するgcodeでは印刷できないのでちょっと設定を変更します。他のスライサーを使用する場合はgcode内にベッドとノズルを加熱する処理が入っているかファイル内を確認してみてください。

Advancedモードにする

PrusaSlicerには一般ユーザーから上級者(?)までの3段階の設定があり、それぞれ変更できる設定の範囲が違います。今回変更したい設定はExpartモードというすべての設定を変更できるモードにします。

印刷開始時にGコードで明示的に加熱コマンドを追加する

Printerの設定タブ内に明示的にベッドとノズルの加熱処理を追加するというチェックボックスがあるのでそれを選択します。 Printer Settings > Custom G-Codes > Emit temperature ...にチェックを入れます。

これを選択することでM109M140がGコードに追加されます。そのままだと変数として渡してしまうので現状のプリント開始時のマクロ処理では対応できません。

スライサーでgcodeを生成

次に3Dモデルをスライスしていきます。

VORON CUBE

テストプリントなので別になんでもいいのですが、せっかくなのでVORON Designが作成したVORON CUBEを使用します。Benchyほど一般的ではないですが各種プリント特性を見ることのできる造形になっています。

スカートありが個人的に好き

これは別にしなくてもいいですが、造形物の1層目を印刷し始める前に周りをぐるぐる余分に印刷する設定があるのでそれを使用します。これがあるといきなり1層目を印刷したときにフィラメントが出てこなかったりして不良になることを防げたり、印刷開始前にZオフセットが適正かどうかチェックできます。まあ今回のように小さな1モデルだけだとあまり後者の意味はないですが...

Print Settings > Skirt and brimから設定できます。自分はこんな感じで設定しています。

とりあえずPLAが無難か

使用するフィラメントは別になんでもいいのですが、まだアクリルパネルを貼ってないのでABSを印刷するには厳しい環境かと思います。SIBOORのキットについてくるフィラメントもPLAなのでとりあえず最初はPLAなのでを試してみます。

色々使ってみた感じeSUN PLA+が個人的にコスパ含め優秀と感じました。OVERTUREのフィラメントはちょっと流動性が悪いので温度やスピードを変える必要があります。

プリント開始マクロをいじる

現状プリント開始時のマクロを説明すると以下のような感じになります。

gcode:
  BED_MESH_CLEAR                    # 読み込んでいるベッドメッシュをクリア
  G28                               # ホーミング
  QUAD_GANTRY_LEVEL                 # QGL
  BED_MESH_PROFILE LOAD=default     # ベッドメッシュ(default)をロード
  M109 S{ printer.extruder.target } # 印刷開始時のノズル温度まで加熱
  G90
  G92 E0                            # エクストルーダーの出力リセット
  G1 Z2.0 F3000                     # Z軸をちょっと上げる
  G1 X10.1 Y20 Z0.28 F5000.0        # ビルドプレートの左上に移動
  G1 X10.1 Y200.0 Z0.28 F1500.0 E17 # ビルドプレートの左下までフィラメント吐出
  G1 X10.4 Y200.0 Z0.28 F5000.0     # ビルドプレートの左上に移動(さっきのちょっと横)
  G1 X10.4 Y20 Z0.28 F1500.0 E32    # ビルドプレートの左下までフィラメント吐出
  G92 E0                            # エクストルーダーの出力リセット
  G90
  # 印刷開始

という感じです。このG1の処理が個人的には好みでないので削除してかわりに上記のスカートを使用して最初のノズル出力が問題ないかをチェックするようにします。

好みでない理由としては、350mmビルドプレートの左端がちょっと使えなくなってしまうことと、フィラメント吐出量が実際の印刷と異なるのでビルドプレートとノズルの隙間をチェックするのに使いにくいという点です。

修正後のマクロはこんな感じになります。

[gcode_macro PRINT_START] #开始打印宏
#   Use PRINT_START for the slicer starting script - please customise for your slicer of choice
gcode:
    BED_MESH_CLEAR                 # Unloading net beds
    BED_MESH_PROFILE LOAD=default  # Loading the net bed
    G28                            # Homing all axes
    QUAD_GANTRY_LEVEL              # Gantry levelling
    G90
    G92 E0                         # Reset Extruder
    # G1 Z2.0 F3000                    # Move Z Axis up
    # G1 X10.1 Y20 Z0.5 F5000.0        # Move to start position
    # G1 X10.1 Y200.0 Z0.5 F1500.0 E17 # Draw the first line
    # G1 X10.4 Y200.0 Z0.5 F5000.0     # Move to side a little
    # G1 X10.4 Y20 Z0.5 F1500.0 E32    # Draw the second line
    # G92 E0                           # Reset Extruder
    M109 S{ printer.extruder.target }
    CLEAN_NOZZLE                   # wipe the nozzle
    #G90

設定できたら保存してFirmware Restartをします。

フィラメントを設置

印刷用のフィラメントを設置していきます。パネルを貼った後にちゃんとした構成にするのでとりあえずの構成でOKです。

スプールホルダーを設置

アルミフレーム外側にフィラメントを保持するための棒のようなものを設置します。穴の部分にはPTFEチューブを切ったものを挿入して回転の抵抗を減らします。

とりあえず直接フィラメントをツールヘッドに入れる

本当はツールヘッドのフィラメント挿入口までPTFEチューブをガイドとして挿したいのですが、まだ準備が整ってないのでとりあえず直接フィラメントを挿入します。挿入した状態でフィラメントのスプールがスムーズに回転することをチェックします。

CAN用のケーブルはじゃまにならないようにする

最後にCANケーブルがじゃまになると思いますが、これもパネルを貼ってPTFEチューブを挿入したあとに固定できるようになるのでとりあえずはじゃまにならないように工夫して吊るしてください。

ちょっと溶かして吐出できるかチェック

フィラメントを挿入してレバーを固定したら、ノズル温度をフィラメントが溶かせる温度まで上昇させて少し押し出してみます。

フィラメントを押し出すにはダッシュボードから行います。Extrudeのボタンで下の数字の長さ・速度で押し出します。早すぎるとギアが空回りしてフィラメントを削り押し出せなくなるのでスピードは控えめにします。Lengthを50mmスピードを10mm/sぐらいにして何度か繰り返してフィラメントスプールが動いたり、ノズル先から溶けたフィラメントが無事に出てきたらOKです。

出てこない場合、とりあえずレバーを閉じたままフィラメントを引っ張ってみて抜ける場合はギアとギアにフィラメントが噛み込んでないので一旦レバーを開けてもう少しフィラメントを押し込んでレバーを閉じます。閉じる前に隙間からフィラメントとギアが見えるのでチェックします。

それでもだめな場合はレバーについているノブを締め込んでギア間を狭くしていきます。締め込むとレバーを締めるのに力がいりますが、結構な力で閉めないとだめな場合は回し過ぎなので緩めてください。ちょっとふんわりした表現ですが...

ビルドプレート上に落ちたフィラメントの残骸はきれいに掃除しておきます。そのままほっておくとフィラメントが焦げ付いてノズルが詰まるので加熱を解除しておきます。

印刷開始

いよいよフィラメントを溶かして印刷していきます。

GコードファイルをKlipper画面へドラッグアンドドロップ

生成できたGコードをブラウザのKlipper画面にどこでもいいのでドラッグアンドドロップするとRaspberry Piへアップロードすることができます。昔使ってたプリンターはいちいちSDカードに書き込んでしかも差込口が目に見えないところにあったので苦労しました...。オンラインで完結するってだけでめちゃくちゃ楽です。

緊急停止の準備

印刷を開始する前に緊急停止できるように心の準備をしておきます。十中八九最初の印刷は何かしらの問題が発生すると思っていますので念のため。

印刷開始をクリック

準備ができたら印刷開始をクリックします。さっきGコードを見た通り以下の順序で処理が進んでいきます。

  1. ベッドの加熱
  2. ホーミング。ノズルが150℃以上の場合は150℃になるまで冷却(TAPの場合ビルドプレートを溶かす可能性があるため)
  3. QGL
  4. ノズルを目的の温度まで加熱
  5. 印刷開始
3までは今まで何度かやっているので問題ないと思いますが、Zオフセットが近すぎるとビルドプレートを擦るか抉る可能性があります。「ザリザリ」「ガリガリ」という異音と振動を察知したら緊急停止してください。ちょっとぐらい接触するのであれば大丈夫ですが、削れてしまうとビルドプレートにあとが残り今後出力する造形物の底面にも跡が転写されるので注意してください。ノズルも削れるかもしれませんが高級ノズルでなければ消耗品なのでそこまで痛くないかもです👀

Fine Tuningでz_offsetを微調整する

スカートと1層目の印刷が開始されたらビルドプレートについたフィラメントの状態をよく観察します。

フィラメントが出力されているがビルドプレートにくっつかない場合はもっとZオフセットを下げる必要があります。

フィラメントがビルドプレートにくっついているがなんとなく色が薄い、押し出した線の輪郭がギザギザするという場合はZオフセットが近すぎるので上げる必要があります。

プリント中にZオフセットを微調整するにはダッシュボードから操作します。プラス方向に調整するとノズルとビルドプレートが遠ざかり、マイナスで近づきます。 とりあえず0.01ずつぐらい少しずつ動かします。

2-3層目まで行けたらあとは待つ

無事に1層目が定着して2−3層目もうまく行っていればあとは完了まで待つだけです。VORON CUBEだと1時間程度です。

印刷終了時に注意

自分のときは問題なかったと思いますが、印刷終了時にもprinter.cfgに記載されているマクロが実行されるので万が一変な挙動をしないか目視でチェックしておきます。なにか異変がある場合はすぐに緊急停止します。

完成!

これで初めての印刷は終了です。自分はココに至るまで2ヶ月近くかかりましたが達成感がすごかったですね...

ちなみに一発目の印刷は失敗しました。。。(笑)

次の記事

次の記事ではアクリルパネルを貼れるようにします。

VORON 2.4 R2 ビルドログ (23 - PrusaSlicer / ベッドメッシュ作成)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事では、3Dモデルをプリンターが印刷できるgcodeに変換するソフト(PrusaSlicer)と、ベッドの歪みを測定してより正確な印刷を可能にするベッドメッシュを作成します。

前の記事

前回は初期セットアップを行い、ホーミングやQGLができるようになりました。

www.taneyats.com

ベッドメッシュ作成

ベッドメッシュはベッドの各地点でPROBE_QUERYを行い基準点(中心)からどれだけ誤差があるのかを計測した地図のことです。特に1層目の定着や造形に大きく関わります。

ベッドは大きな鉄の板を削って作られているのですが、どうしても0.1mm程度の誤差や歪みが発生してしまいます。Zオフセットを計測する地点はビルドプレートの真ん中なので端のほうが極端ですが1mm沈んでしまっている場合はそれだけで1層目の定着がほぼ不可能となります。逆にノズルに近い方に歪んでいる場合はビルドプレートと衝突したり造形物が太ってしまいます。Klipperがその凸凹マップを読み取ってZオフセットがに一定になるようにZ軸の高さをちょこちょこ変更してくれます。

特に350mmサイズのVORONを使用する場合はベッドが広く歪みが発生しやすいのでやらない理由がないです。

SIBOORの初期値だとうまく行かないので変更

ベッドメッシュ関連のprinter.cfgは以下です。

[bed_mesh]
speed: 80                    # Calibration speed
horizontal_move_z: 10        # Z-axis movement speed
mesh_min: 30,30              # Minimum calibration point coordinates x, y
mesh_max: 270, 270           # Maximum calibration point coordinates x, y
probe_count: 7,7             # Number of sampling points (7X7 is 49 points)
mesh_pps: 2,2                # Number of supplementary sampling points
algorithm: bicubic           # algorithmic model
bicubic_tension: 0.2         # Algorithmic interpolation don't move

ですが、私の環境で実行したところどう頑張ってもうまく行かないため試行錯誤の結果以下の設定値だと正しく反映されました。まずは上記の設定で試してみてうまく行かなければ下の設定を試してみてください。

[bed_mesh]
speed: 100                   # Calibration speed
horizontal_move_z: 10        # Z-axis movement speed
mesh_min: 30,30              # Minimum calibration point coordinates x, y
mesh_max: 320, 320           # Maximum calibration point coordinates x, y
zero_reference_position: 175,175
probe_count: 5,5             # Number of sampling points (7X7 is 49 points)
mesh_pps: 4,4                # Number of supplementary sampling points
# algorithm: bicubic           # algorithmic model
algorithm: lagrange           # algorithmic model
bicubic_tension: 0.2         # Algorithmic interpolation don't move

おそらくprobe地点の間を補完するアルゴリズムが問題なのかなぁと思っています。zero_reference_positionを指定してあげないと原点をどこにしたらいいのかわからずズレます。他により高速に行うように設定を変更しています。

暖気する必要あり

印刷時の状況を再現する必要があるため、ビルドプレートとノズルを加熱する必要があります。とりあえずABSをで印刷することを想定してビルドプレートを100℃、ノズルを150℃に加熱します。ノズルはフルに250℃ぐらいまで加熱したいのですがTAPの場合はノズルがそのままビルドプレートに接触するので溶かす可能性があるため150℃に抑えています。

暖気時にベッドの固定ボルトを緩めておく

もう一点、暖気を行う際にはベッドを固定している4本のボルトのうち3本を緩めておきます。おそらく最初に組んだときは常温のまま組んでいるはずなので、ベッドを温めると熱膨張により僅か歪みが発生するはずです。ボルトを緩めておいて完全に温まった状態で締め直すことでその歪みをある程度解消できます。

すべてのボルトを外してしまうとベッドがズレたりする可能性があるので1本は固定用に残しておきます。

指定した温度に到達してから15分程待ちます。初期設定のままだと30分経つと加熱がストップするので再度値を入力して再開してください。

実行

十分な暖気が完了したらビルドプレートのボルトを再度締めます。1本締めたあと固定用に残していたボルトを緩めて再度締め、残りのボルトを締めていきます。

ベッドメッシュの測定方法はBED MESHタブ内のボタンを押すとCALIBRATEのボタンがあるので押します。

メッドメッシュ名を決めるように聞かれるのでとりあえずdefaultのままにしておきます。印刷開始時のマクロ内にdefaultというベッドメッシュを読み込むという処理が入っているため必ずdefaultというものが必要です。ない場合はエラーとなり印刷開始できませんので、SIBOORのprinter.cfgでベッドメッシュを利用しない場合はマクロ内から該当箇所を削除してください。

実行するとQGLと同じ要領で各地点で計測が始まります。そこそこ時間がかかります。最近はBeaconやCartographerのようあ一気に測定するアイテムなんかもあったりするので試してみたいですね。

Cartographer Probe v3 with lis2dw - Standard Edition - both CAN & USBcartographer3d.com

保存する必要あり

測定が完了しただけでは現在のセッション(?)で使用するだけになっていますのでSAVE CONFIGしてprinter.cfgに反映します。

PrusaSlicerのインストール

次にスライス用ソフトのPrusaSlicerをPCにインストールします。元々はCuraを使ってたのですがなんとなく気分転換で使ってみたらすっかり定着しちゃいました。モデル公開サイトもPrintables.comを使うようになって久しいので...

インストールと初期設定はそこまで迷うことはないはずです。自分のVORONにあったビルドプレートサイズとノズル(Dragon HFは0.4mm)を選択してください。

次の記事

次回はいよいよ初めてのプリントとなります!

https://www.taneyats.com/entry/voron_buildlog_24www.taneyats.com

VORON 2.4 R2 ビルドログ (22 - 初期セットアップ)

こんにちは。たねやつです。

今回の記事では、VORONを動かせる状態になったのでモーターやエンドストップの初期チェックを行っていきます。いよいよVORONが動きます!

前の記事

前回の記事ではファームウェアやネットワーク関連の作業を行いました。

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とりあえずアップデートを実行する

とりあえず面倒なことにならないうちにKlipperやその他ソフトウェアのアップデートを行っておきます。本格的に使い始めたあとではアップデートをして動かなくなったりしたら面倒なので。ただしSIBOORなどのキット品ですでに作成済みのSDカードから構築した場合、アップデートは一旦保留にしておいてください。Octopus Proなどのファームウェアも同時に更新する必要があるので少々難易度が高いです。

MACHINEタブ内に各種ソフトウェアのアップデートを管理するパネルがあるのでそこをチェックします。

一度稼働し始めたら、大型アップデートや気になる修正・追加、脆弱性対応が来た時以外は基本的にはアップデートしないほうがいいです。もしくはSDカードをまるごとバックアップして別のSDカード内の環境でお試しアップデートしてみて問題がなければ本番環境にGOというような感じで。

自分の環境はすでにこんな感じにえらいことになっていますがとりあえず放置してます。

参考文書

参考にする文書はVORONのWEB上の文書となります。ここから最初の印刷が完了するまでは基本的にWEB上の文書を参考とします。

ヒーターの動作チェック

最初にベッドとホットエンドのヒーターが誤動作していないかチェックします。

Verify Temperature

ヒートベッドの温度がおおよそ室温程度になっているかチェックします。

Verify Heater

ホットエンドの温度がおおよそ室温程度になってるかチェックし、50℃まで加熱してみます。ホットエンドの温度を上げるにはKlipper画面のDASHBOARDから50と入力してエンターを押します。ホットエンドの加熱が始まるとホットエンド用のクーリングファンが回転し始めることもチェックしてください。音でわかるかと思いますがStealthBurnerの下の方のファンです。

サーミスタ(温度計)が接続されていない、または断線などでうまく値を取得できない場合はそもそもKlipperが起動せず緊急停止の状態となり、ホットエンドのファンが最高速で回転して温度を下げようとしてくれます。

50℃まで上昇したことを画面上で確認し、一応手をホットエンドに近づけて物理的にも確認しておきます。加熱を止めるには0と入力してエンターを押します。おそらくホットエンドファンが停止すると思います。これはprinter.cfgの設定値で何度以上でファンを回すという設定があるためです。

同じ作業をベッド側でも試します。

どちらも最終的には室温程度まで戻ることをチェックできたら完了です。

モーターのチェック

次にモーターのチェックです。モーターを1mmだけ前後に回転させるコマンドがあるのでそれを使用して各モーターが動くか、正しい配線になっているかをチェックします。

XYガントリを真ん中ぐらいにしてある程度水平を取っておく

作業前に少しとはいえ一応モーターを動かすので、ある程度ガントリーが上下どこにもぶつからない場所に動かします。まだモーターの動作チェックをしていないので手で動かします。

各Z軸

(from https://docs.vorondesign.com/build/startup/)

各種モーターの追番などは上記のとおりです。左手前から時計回りに0ー3となっています。

Klipper画面のCONSOLEタブ、もしくはDASHBOARDの同様のパネルからコマンドを実行することができます。以下のコマンドを実行するとstepper_z(左手前)のモーターが小刻みに動きます。

STEPPER_BUZZ STEPPER=stepper_z

モーターが動いているかどうかは目視で確認します。ぜんぜん違うモーターが動いている場合は配線が間違っているのでOctopus Proに刺さっているZモーターの配線を再度チェックします。

同様の作業をstepper_zstepper_z1から順に変更してすべてのZ軸が正しい位置にセットされていることをチェックできたら完了です。

A/Bモーター

XY軸用のモーターも同様にSTEPPER_BUZZコマンドを利用してチェックします。

STEPPER_BUZZ STEPPER=stepper_x
STEPPER_BUZZ STEPPER=stepper_y

それぞれ想定と逆のモーターが動く場合、Octopus Proに接続しているコネクターが間違っているので修正します。

エクストルーダー

モーター類最後はフィラメントを押し出したりする部分のモーターです。フィラメントを固定するレバーを開けてチェックします。

STEPPER_BUZZ STEPPER=extruder

エンドストップのチェック

次にエンドストップスイッチの動作チェックです。MACHINEタブ内のエンドストップ用パネルを使用します。

パネル内の更新ボタンを押すと現在のエンドストップスイッチの状態を取得できます。OPENと表示されている場合はスイッチが押されていない状態でTRIGGEREDが押されている状態ですので、現状すべてOPENとなっているはずです。

まずは手で押して見る

実際にモーター駆動させてチェックするのはまだ危険なので、とりあえず各スイッチを手で押してチェックします。StealthBurnerの右下につけたYエンドストップのスイッチを押し他状態でさっきの更新ボタンを押すとTRIGGEREDとなるはずです。もしならない場合は配線とprinter.cfgの設定を再チェックします。

もし、押していない状態のときにTRIGGEREDとなり押すとOPENになる場合はprinter.cfgの設定で逆転させることで正常になります。

[stepper_y]
...
endstop_pin: PG9           # Limit switch PIN pin setting(Y-)
↓
endstop_pin: !PG9           # Limit switch PIN pin setting(Y-)

値の頭に!をつけることで反転させることができます。保存してファームウェア再起動し、再度チェックして問題ないことを確かめます。

同じ作業をXYガントリー右奥のXエンドストップでも行います。

ZエンドストップとPROBEはTAPの場合同一

Zエンドストップは今回TAPを使用しているのツールヘッド自体がZエンドストップとなります。ツールヘッド本体を持ち上げた状態にすると背面にあるLEDがの色が変わります。その状態で更新ボタンを押すとTRIGGEREDと表示されるはずです。これも逆となっている場合は上記の手順で修正します。[probe]下にあるpinが対象です。

PROBEという方に関してはTAPの場合はZエンドストップと兼用なので無視してOKです。

ツールヘッドを手で動かしてチェック

手でスイッチを動かしてXYZのエンドストップがTRIGGEREDとなることがチェックできたら次にツールヘッドを実際にVORON本体に手で動かして当ててみてTRIGGEREDとなることをチェックします。何かしらの要因(配線が邪魔、スイッチよりも別の箇所が先に当たる等)が原因でスイッチが押せないことがあるかもしれないので念のためチェックです。)

XYホーミングのチェック(モーター回転方向)

エンドストップがすべて問題なければいよいよモーターを駆動させてツールヘッドを動かします。

緊急停止の準備

これから行う作業はツールヘッドが想定外の動きをする可能性大なので緊急停止ボタンをいつでも押せるようにしておきます。Klipper画面右上のマークの赤いボタンです。

このボタンを押すと印刷途中等いかなる状態でも動作と加熱を中止してヒーターファンが最高速で回ります。緊急停止ボタンを押す方が好ましいですが、作業しにくいという場合はVORON本体の電源スイッチでもOKですがSDカードのデータが破損する可能性があります(ドキュメントでもnuclear option(最後の最後の手段)として書かれてます...)。

試しに1回押してみると赤いエラー画面となるので、Firmware Restartを押して再度起動します。想定外の異音やノズルが調整不足でベッドに衝突した際に使ったりします。

コマンドの実行

以下のコマンドを実行するとX軸のホーミング、Y軸のホーミングを順に行います。実行する前にprinter.cfgの設定次第でX軸のエンドストップのない方向(左方向)、Y軸のエンドストップのない方向(手前)に移動する場合がありますので、ツールヘッドとガントリーを真ん中に手で移動させておきます。

G28 X
G28 Y

もしエンドストップのない方向に移動し始めた場合、すぐに緊急停止ボタンを押して処理を停止してください。そのまま放置してフレームに衝突するとツールヘッドやモーター、ベルトの損傷に繋がりますので...

正しい方向に進み、エンドストップが当たった場合移動が終了し、少しマイナス方向に動きそこを軸の最大値として使用されます。

XYの移動方向にしたがってprinter.cfgを変更

XY軸両方問題なく正しい方向に進んだ場合はOKですが、逆方向に進んだ場合は上の画像に従ってABモーターのピン方向をエンドストップ同様変更する必要があります。

例えばX軸をホーミングした際にY軸が奥側に、Y軸をホーミングした際にX軸が右側に進んだ場合(上の左から2番目の状態)、Aモーターのピンに!を追加すると直ります。下に示されているような動きをした場合はモーターの配線が逆なので配線を入れ替えます。この時必ずVORONの電源を切って作業してください。

再度チェックして問題がなければXYのホーミングとエンドストップのチェックは完了です。

XYZのホーミングのチェック

Z軸も含めたホーミングをするのですが、その前にビルドプレートを忘れずに設置してください。

DASHBOARD画面の🏠マークのボタンを押すとXYZ軸すべてのホーミングを行うことができます。これも緊急停止を備えながら実行してみてください。先程のようにXYのホーミングをしたあと真ん中に移動してツールヘッドがベッドに接触し、TAPによりZエンドストップが押されてホーミングが終了します。

ホーミングが終了すると🏠ボタンが青くなりKlipper上から各軸の操作ができるようになります。

XY原点のチェック

左下にツールヘッドを移動

次にベッドの原点を指定するのですが、現在ホーミングが完了している状態なのKlipper上から移動させてXYがそれぞれ0の地点まで移動します。

移動できたら少しずつZ軸を下げてベッドに当たる直前ぐらいにします。このときにベッドの端から1mm以内のベッド内にノズル先端が収まっているのであればOKです。

ベッド外に出てしまっている場合はprinter.cfgposition_maxの値を調整します。350mmベッドで大幅にズレている場合は250mmベッド等のままになっているかもしれません。

PROBE_ACCURACY

TAPの精度をチェックします。再度🏠ボタンを押してツールヘッドをベッドの真ん中に移動します。コマンドからPROBE_ACCURACYを実行するとその場で10回TAP動作が行われます。このときにコンソールにログが表示されますが、z=の値が徐々に少なくなっていくこととstandard diviation(標準偏差)が0.003以下に収まっていることをチェックします。

もしこの値がおかしい場合はTAPの組付けが悪い(各部のボルト締めが緩いリニアレールがちゃんと固定できてない、潤滑が足りない等)可能性があります。ココの値のバラツキが大きいままだと後述のベッドレベリングやオフセット調整を行ってもうまく印刷できない可能性大となります。そもそもベッドレベリングが完了できないかもしれませんので一旦QGLまで進めてみてください。ドキュメントによると正確に組み上げられた場合は0.0008以下になるようです。

PIDチューニング

ヒーターの調整を行います。

ベッド

再度すべての軸をホーミングしてZ軸をベッドから5mmぐらいの高さにします。以下のコマンドを実行してヒーターの加熱具合の調整を行います。

PID_CALIBRATE HEATER=heater_bed TARGET=100

実行するとヒートベッドが100℃まで上昇し、±10℃位を行ったり来たりしながら10分間調整します。100℃に上がるまで結構時間がかかりますが辛抱強く待ちましょう。ABS印刷するときは最初にこれぐらいまでベッド温度を上げるのでなんとなく印刷前にかかる時間がイメージできますね。

完了したら加熱状態が解除されるのでSAVE_CONFIGコマンドを実行して計測値をprinter.cfgに保存します。

ホットエンド

同じ作業をホットエンドでも行います。M106 S64でパーツクーリングファンを25%のスピードで回しながら

PID_CALIBRATE HEATER=extruder TARGET=245

を実行します。これもABSを印刷する時程度の温度ですね。5分続きますので完了したらSAVE_CONFIGコマンドを実行して計測値をprinter.cfgに保存します。M106 S0でファンを停止します。

QGL(ベッドレベリング)

QGL(Quad Gantry Leveling)という動作を行ってXYガントリーの水平を取ります。VORON2.4では各Z軸が独立しているのでそれぞれを同じ高さに揃える事によってプラットフォームの水平を取るのと同じ動作をしています。

手で水平になるまで揃える

作業前にまずガントリーの水平を手動で揃えておきます。ミリ単位の厳密性はいらないですがおおよそ揃えておかないとQGL実行にズレが大きすぎて修正できなかったり、ビルドプレートを引っ掻く可能性があります。

実行

QGLの実行はホーミングの🏠ボタンの横にあるQGLボタンを押すと実行されます。QGLを実行するためにはホーミングが完了している必要があります。

実行するとZ0軸から時計回りに3回ずつPROBE_ACCURACYと同じような動作を行い高さを図ります。Z4まで完了すると水平を調整して再度PROBEし始めます。これが規定回数に到達するか規定範囲内(samples_tolerance)に収まるまで実行されます。規定回数に到達しても範囲内に収まらない場合はQGL失敗となります。TAPの組付け精度如何では失敗するかもしれませんが2−3度繰り返してみてください。

z_offsetの調整(重要)

印刷時にノズルとビルドプレートとの隙間を設定します。この設定がかなり重要でビルドプレートとの密着性や造形精度、表面の綺麗さに大きく関わってきます。

暖気を行う

精度を上げるためにVORON本体を実際の使用時まで温度を上げて熱膨張などを考慮した上で実行するのが望ましいです。が、現状パネルを設置していないのでとりあえずパネル無しでホットエンドを150℃、ベッドを50℃程度まで温度を上げます。実際は240/100℃まで上げるべきですがとりあえずです。

到達してから10分ほど待ってから作業に取り掛かります。

紙かシックネスゲージを用意

ノズルとビルドプレートの間に0.10mmの隙間を確保したいのですが、一番お手軽な方法としては適当な紙を用意して使用します。

より厳密に行いたい場合はシックネスゲージという隙間を測る工具があるので買っておきましょう。というか個人的には必需品です。そんなに高くないし。

マクロを実行

PROBECALIBRATEというマクロがSIBOOR側で用意されているのでそれを使用します。実行するとホーム位置でPROBEしたあと微調整の画面が出てきます。

ココでちょっとずつノズルをベッドに近づけながら、間に挟んだ紙を引っ張ったときに抵抗を感じるぐらいになったらOKを押して設定値を保存します。

ココの値は各個体によって違ったり、フィラメントやノズルで違ってきたりするので一概にこの値が正解というものはなく自分はしょっちゅう測り直しています。印刷中に微調整も可能です。

キャリブレーション

最後にエクストルーダーのキャリブレーションを調整します。調整することによって正しい吐出量を設定することができ印刷品質が向上します。

printe.cfg内にすでに概算値がありますのでそれで問題ないかチェックします。ノズル温度をフィラメントを溶かすことができる温度まで上げます。フィラメントを挿入してDASHBOARDからフィラメントの操作ができるので10mmほど押し出してみます。もしフィラメントが押し戻されるのであればモーターの調整時と同様にピンに!をつけます([extruder]dir_pin)。フィラメントがノズルの先端から出てくるまで続けます。

次にフィラメント挿入口から120mmのところにマークをつけます。その後に再度フィラメントを100mm文押し出してフィラメント挿入口からマークまでの長さを測ります。20mmとなっていればOKですが、19mmのように押し出し量が多い(101mm押し出されてる)場合はrotation_distanceの値を変更します。変更式は

新しい値 = 古い値 * (実際に押し出された量/100)

となります。

初期セットアップ

これで最低限の初期セットアップが完了して印刷テストができる状態となりました!長い道のりでしたね。。。

まだまだパネルを取り付けたり作業はいっぱい残っていますがココまで動けばしっかりと組み上げられているので安心してOKですね!

次の記事

次はスライサーのセットアップやベッドメッシュの作成をします。

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