たねやつの木

Photographs, Keyboards and Programming

ComfyUIがQwen-Imageに即座に対応!VRAM 12GBのRTX3060でも動いた!

こんにちは、たねやつです。

VRAM 12GBの壁に阻まれ、軽量版ですら動作させることができなかった画像生成AI「Qwen-Image」。しかし、早くも画像生成AI界の雄、ComfyUIがこのモデルに対応したとの情報が!

しかも、VRAM 12GBのRTX 3060でも快適に動作する軽量モデルが用意されているとのこと。これは試さないわけにはいきません!

この記事では、ComfyUIでQwen-Imageを動かすための具体的な手順と、実際に試してみた結果をレポートします。

前の記事

www.taneyats.com

この記事でできること

  • ComfyUIでQwen-Imageを使うための環境構築手順がわかる
  • VRAM 12GBのGPUでも動作する軽量モデルを知ることができる

必要なもの

  • ComfyUI: 最新版にアップデートされていることが望ましいです。
  • Qwen-Imageモデル: Hugging Faceからダウンロードします。
  • Qwen-Image用ワークフロー: GitHubから入手します。

手順

最新のv0.3.49ではすでに以下の対応が含まれています。もうちょっと遅く確認していれば。。。w

セットアップは、ComfyUIへのファイル追加、モデルの配置、ワークフローの読み込みの3ステップで完了します。

1. ComfyUIへの対応ファイル追加(手動)

現在、Qwen-ImageのサポートはComfyUIのインストーラーや自動アップデートにはまだ完全には反映されていません。そのため、手動で必要なファイルを追加する必要があります。

  1. まず、機能追加が行われたGitHubのPull Requestページにアクセスします。
  2. ページ上部のタブから「Files changed」を選択します。
  3. 変更されたファイルの一覧が表示されるので、それぞれのファイルをダウンロードし、お使いのComfyUIの同じ階層のディレクトリに配置(上書き)してください。
この作業はComfyUIの内部ファイルを直接変更するものです。作業前にはバックアップを取ることをお勧めします。将来的にはComfyUIのアップデートマネージャーから更新できるようになるはずです。

2. モデルファイルのダウンロード

次に、ComfyUI用に変換されたモデルファイルをダウンロードします。以下のHugging Faceリポジトリから入手できます。

複数のモデルファイルがありますが、私がRTX 3060 (VRAM 12GB) で動作を確認したのは以下のファイルです。

  • qwen_image_fp8_e4m3fn.safetensors

ダウンロードしたモデルファイルは、ComfyUI/models/unet/ ディレクトリに配置してください。

3. ワークフローの読み込み

最後に、Qwen-Imageを動作させるためのワークフロー(JSONファイル)を読み込みます。

ワークフローは、先ほど紹介したPull Request #9179のページで公開されています。ページ内にある、狐のキャラクターが描かれたサンプル画像(ComfyUIのスクリーンショット)を、ComfyUIの画面に直接ドラッグ&ドロップ**してください。

すると、画像に埋め込まれたワークフローが自動的に展開されます。

4. 画像生成の実行!

あとは、読み込まれたワークフローの「Load Checkpoint」ノードで、先ほどダウンロードしたモデル(qwen_image_fp8_e4m3fn.safetensors)が選択されていることを確認し、プロンプトを入力して実行するだけです!

もしエラーが出る場合は、モデルファイルの配置場所が間違っている可能性があるので、ComfyUI/models/unet/ に正しく置かれているか確認してみてください。

実行結果:RTX 3060でも楽々動いた!

結果から言うと、VRAM 12GBのRTX 3060でも、本当に快適に動作しました!

先日、PyTorchスクリプトで実行しようとしてSIGKILLエラーで玉砕したのが嘘のようです。ComfyUIと、軽量化モデルを作成してくれたコミュニティの力に感謝しかありません。

生成された画像を見ると、やはり噂通りテキストの埋め込み精度が非常に高い印象です。このあたりは、また改めてじっくりと試してみたいと思います。

最後に

というわけで、今回はComfyUIを使ってQwen-Imageを比較的低スペックな環境で動かす方法をご紹介しました。

最新のAIモデルはVRAM要件が厳しく、試したくても試せない…という状況が増えてきましたが、ComfyUIのようなプラットフォームとコミュニティの力によって、そのハードルが大きく下がるのは本当に素晴らしいことだと思います。

皆さんもぜひ、Qwen-Imageの驚異的な性能を体験してみてください!

次の記事

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参考・引用

自作キーボードの表面実装部品(SMD)をはんだ付けする道具と手順

こんにちは、たねやつです。

自作キーボードの設計も、最近はRP2040のような安価で高性能なマイコンが手軽に使えるようになり、表現の幅が大きく広がりました。しかし、これらの部品は表面実装(SMD)が前提となっていることが多く、はんだ付けのハードルを高く感じている方もいるかもしれません。

この記事では、私が実際にRP2040などの表面実装部品をはんだ付けする際に使用している道具と、具体的な手順について解説します。

この記事でできること

  • 表面実装部品(SMD)のはんだ付けに必要な道具がわかる
  • ヒートガンとペーストはんだを使ったSMDの実装手順がわかる
  • 細かいパッドのはんだ付けのコツがわかる

事前に必要なもの

表面実装を始めるにあたり、以下の道具を揃えておくと作業がスムーズに進みます。

道具

基本的にすべてAliExpressにて揃えました。5000円もかからなかったはずです。

消耗品

手順

大まかな流れは、「基板にペーストはんだを塗る」→「部品を乗せる」→「ヒートガンで熱する」となります。

1. 基板の準備と予備はんだ

まず、基板のはんだ付けするパッド(ランド)をきれいにします。IPAなどを含ませた綿棒で表面の油分や汚れを拭き取っておきましょう。

次に、パッドに「予備はんだ」をしていきます。

  1. ペーストはんだをパッドに乗せる: パッドの上に、ごく少量のペーストはんだを出します。出しすぎると隣のパッドと繋がって(ブリッジして)しまうので、本当に少量で大丈夫です。
  2. フラックスを塗る: ペーストはんだの上に、フラックスを少し多めに塗ります。これにより、はんだがパッドに乗りやすくなります。
  3. はんだごてで熱する: はんだごての先でパッドをサッとなでるように熱し、ペーストはんだを溶かします。パッドがキラキラと輝き、少し盛り上がる程度にはんだが乗れば成功です。
    • 盛りすぎた場合: はんだごてを当てる時間を短くするか、フラックスを足してみてください。
    • RP2040のような細かいパッド: より高速にはんだごてを動かします。目視が難しいですが、パッドの色が変わっていればOKです。後で修正できるので、ここでは神経質になりすぎなくても大丈夫です。
USBコネクタやスイッチの足を固定するための穴(スルーホール)をはんだで塞がないように注意してください。後で部品が取り付けられなくなります。

予備はんだが終わったら、一度IPAで基板上のフラックスをきれいに拭き取ります。

2. 部品の実装

いよいよ部品を基板に乗せていきます。

  1. フラックスを塗る: 部品を乗せる位置(パッド間の中央あたり)に、少量のフラックスを塗ります。これは、ヒートガンで熱した際に部品が風圧で飛んでいかないようにするための、接着剤の役割を果たします。
  2. 部品を乗せる: ピンセットを使って、部品を慎重にパッドの上に乗せます。
    • ICやRP2040: 部品の向きと、基板のシルク印刷のマークが合っているか必ず確認してください。
    • ダイオード: カソードマーク(線)の向きを間違えないように注意しましょう。

3. ヒートガンでのリフロー

部品を乗せたら、ヒートガンで熱してはんだを溶かします(リフロー)。

  • 小さく円を描くように、様々な角度から均等に熱を加えるのがコツです。
  • はんだが溶けると、表面張力によって部品が正しい位置に「スッ」と引き寄せられます。
  • もし部品の位置がずれてしまった場合は、ピンセットで軽くつついて調整します。

4. 仕上げ(追いはんだ)

ヒートガンだけではんだ付けが不十分な場合があるため、特に追加の固定が必要な部品は、はんだごてで仕上げます。

  • RP2040やUSBレセプタクル: C型のこて先の先端を使い、各端子を軽くなぞるようにして、はんだ付けを確実なものにします。RP2040の場合は、ペーストはんだを少量追加しながら行うと、よりきれいに仕上がります。

5. 洗浄と動作チェック

最後に、子ども用綿棒にIPAを染み込ませ、基板に残ったフラックスをきれいに拭き取ります。フラックスが残っていると、後々腐食の原因になる可能性があります。

洗浄が終わったら、いよいよ動作チェックです。PCに接続する前に、以下の点を確認してください。

  • 部品の向きは正しいか?
  • ショートしていそうな箇所はないか?

PCに接続し、部品の異常な発熱や煙が出ないかを注意深く観察します。問題がなければ、はんだ付けは成功です。

最後に

表面実装は慣れるまで少し難しく感じるかもしれませんが、ヒートガンとペーストはんだを使えば、意外と簡単に、そしてきれいに仕上げることができます。この記事が、皆さんの自作キーボード製作の一助となれば幸いです。

【ComfyUI画像生成】Inpainting(インペインティング)で画像の一部を修正・変更する

こんにちは、たねやつです。

ComfyUI講座の続きです。前回はワークフローの保存と復元について学びました。今回は、画像生成で非常によく使われるテクニック「Inpainting(インペインティング)」をComfyUIで実践する方法を解説します。

Inpaintingとは、生成した画像の一部分だけを指定し、その部分だけを再生成(描き直し)する技術です。「キャラクターの表情だけ変えたい」「持ち物だけ違うものにしたい」「指の形が崩れたので修正したい」といった、細かな修正作業に絶大な威力を発揮します。

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この記事でできること

  • Inpaintingの基本的な仕組みがわかる
  • ComfyUIでInpainting用のワークフローを組める
  • 画像の特定の部分(顔、手、物など)だけを修正・変更する方法がわかる

事前に必要なもの

  • 基本的なText to Imageワークフロー
  • Inpainting用のチェックポイントモデル: 通常のモデルでもInpaintingは可能ですが、Inpainting専用にファインチューニングされたモデルを使うと、より高品質な結果が得られます。(例: v1-5-inpainting.safetensors
  • 修正したい画像: 過去に生成した画像など。

Inpaintingの仕組み

Inpaintingの基本的な考え方は、「画像の一部をマスク(塗りつぶし)で指定し、そのマスクされた領域だけを、周囲の画像と馴染むように再生成する」というものです。ComfyUIでは、この「マスク」を作成し、それをKSamplerに渡すことでInpaintingを実現します。

手順

Inpainting用ワークフローの構築

基本的なText to Imageワークフローを少し変更して、Inpaintingに対応させます。

  1. Load Image (画像の読み込み):

    • Empty Latent Imageノードの代わりにLoad Imageノードを使い、修正したい画像を読み込みます。
  2. VAE Encode (画像をLatentに変換):

    • Load Imageで読み込んだピクセル画像を、KSamplerが扱えるLatent(潜在表現)に変換する必要があります。
    • VAE Encodeノードを追加し、Load ImageIMAGE出力を接続します。このノードのLATENT出力をKSamplerlatent_image入力に接続します。
    • VAELoad Checkpointから供給します。
  3. Maskの作成:

    • Load Imageで読み込んだ画像を右クリックし、「Open in MaskEditor」を選択します。
    • マスクエディタがポップアップで開くので、修正したい領域をマウスで塗りつぶします。塗りつぶした部分が、再生成される範囲になります。今回は、背景に看板のような文字列が表示されてしまったので消したいと思います。

    • 塗り終わったら「Save to node」をクリックします。Load Imageノードの出力にMASKが追加されます。

  1. Set Latent Noise Mask (マスクの適用):
    • KSamplerには直接マスクを渡す入力がありません。代わりにSet Latent Noise Maskというノードを使います。
    • このノードを追加し、VAE EncodeLATENT出力とLoad ImageMASK出力をそれぞれ接続します。
    • そして、このノードのLATENT出力をKSamplerlatent_image入力に接続します。(VAE Encodeから繋がっていた線をこちらに繋ぎ替えます)

最終的なワークフローは以下のようになります。

画像の生成と調整

ワークフローが完成したら、プロンプトとパラメータを調整して画像を生成します。

  1. モデルの選択: Load CheckpointでInpainting用のモデルを選択すると、より良い結果が期待できます。
  2. プロンプトの入力: ポジティブプロンプトには、「マスクで指定した部分に新しく生成したいもの」を具体的に記述します。(例: beautiful face, holding a red apple
  3. KSamplerの設定: denoiseの値を調整します。1.0に近いほど元絵を無視して強力に再描画し、低い値だと元絵の雰囲気を残しつつ修正します。最初は0.70.9あたりで試すのがおすすめです。
  4. 「Queue Prompt」をクリックして生成を実行します。

マスクで指定した部分だけが、プロンプトの内容を反映して再生成され、周囲と自然に馴染んだ画像が出力されるはずです。

最後に

今回は、生成AIの必須テクニックであるInpaintingをComfyUIで実践する方法を解説しました。完璧な一枚絵を一発で生成するのは難しいですが、Inpaintingを使いこなすことで、細かな修正を繰り返して作品の完成度を極限まで高めることができます。

特に、崩れやすい「手」や「指」の修正には欠かせないテクニックです。ぜひマスターして、作品のクオリティアップに役立ててください。

次の記事

【ぴよログでRAG: 第5回】RAGのためのチャンキング戦略を練る

こんにちは、たねやつです。

前回は、Pandasを駆使して、生のログデータをAIが理解しやすい「きれいなデータ(DataFrame)」に整形しました。これで、私たちの育児ログは、いつでも分析できる状態になりました。

さて、ここからはいよいよRAG (Retrieval-Augmented Generation) の世界に本格的に足を踏み入れていきます。RAGの最初の重要なステップは、知識源となる情報を、LLMが扱いやすい適切なサイズの「塊(チャンク)」に分割することです。これをチャンキングと呼びます。今回は、私たちの育児ログデータをどのようにチャンキングすれば、後の検索(Retrieval)で効果的に機能するのか、その戦略を練っていきます。

前の記事

この記事でできること

  • RAGにおける「チャンキング」の目的と重要性が理解できる。
  • どのような基準でデータを分割すれば、AIが質問に対して適切な情報を見つけやすくなるかがわかる。
  • ぴよログデータに対して、「1日ごと」「イベントごと」といった複数のチャンキング戦略を考案し、それぞれのメリット・デメリットを比較検討できる。

なぜチャンキングが必要なのか?

LLMに外部情報を与える際、なぜ情報をチャンクに分割する必要があるのでしょうか?理由は大きく2つあります。

  1. LLMの入力文字数制限(コンテキストウィンドウ): LLMには一度に処理できるテキストの量に上限があります。ぴよログの全データを丸ごとLLMに渡すことは不可能です。そのため、質問に関連する部分だけを効率的に見つけ出して渡す必要があります。チャンクは、その「関連する部分」の最小単位となります。

  2. 検索精度の向上: 私たちが「昨日のミルクの量は?」と質問したとき、AIには「昨日」の「ミルク」に関する情報だけを探し出してほしいですよね。もしデータが1年分全部つながっていたら、この検索は非常に困難で、関係のない情報まで大量にヒットしてしまいます。データを意味のある単位(例えば「1日ごとの記録」)で区切っておくことで、検索の精度が格段に向上します。

つまり、チャンキングは、広大な知識の海から、的確な情報の一滴を汲み出すための「区画整理」のような作業なのです。

ぴよログデータのチャンキング戦略

では、私たちの育児ログをどのようにチャンキングするのが最適でしょうか?いくつか戦略を考えてみましょう。

戦略1:1レコード=1チャンク

最もシンプルな方法です。前処理済みのDataFrameの1行(1つのイベント記録)を、そのまま1つのチャンクとします。

  • チャンクの例: 2023-09-01 05:45:00, イベント: ミルク, 量: 240.0ml, メモ: 全部飲んだ!
  • メリット:
    • 実装が非常に簡単。
    • 「お昼のミルクは何時?」のような、特定のイベントに関する非常に具体的な質問に強い。
  • デメリット:
    • 「今日のミルクの合計量は?」のような、複数のイベントにまたがる集計的な質問に答えるのが難しい。AIは複数のチャンクを組み合わせて考える必要があり、負担が大きい。
    • 睡眠のように「寝る」と「起きる」がペアになるイベントの期間を把握しにくい。

戦略2:1日=1チャンク

日付ごとに全てのイベントをまとめて、1つのチャンクとします。

  • チャンクの例: 2023-09-01の記録: [0:38 おしっこ], [1:50 寝る], [5:30 起きる], [5:45 ミルク 240ml メモ:全部飲んだ!], ... [21:00 寝る]
  • メリット:
    • 「今日の合計睡眠時間は?」「昨日の授乳回数は?」といった、1日の範囲での集計や要約に関する質問に非常に強い。
    • ほとんどの日常的な質問は1日で完結するため、カバー範囲が広い。
  • デメリット:
    • 1日の情報量が多くなりすぎると、チャンクが長くなり、LLMが処理しきれなかったり、重要な情報が埋もれてしまったりする可能性がある。
    • 夜中の睡眠のように、日付をまたぐイベントの扱いが少し複雑になる。

戦略3:イベントのセッション=1チャンク

関連するイベントをグループ化して1つのチャンクとします。例えば、「寝る」から次に「起きる」までを「睡眠セッション」としてまとめます。

  • チャンクの例: 睡眠セッション: 開始: 2023-09-01 21:00, 終了: 2023-09-02 0:55, 睡眠時間: 3時間55分
  • メリット:
    • 「昨日の夜は何時間寝た?」のような、期間をまたぐイベントに関する質問に最も正確に答えられる。
    • データの意味的なまとまりが強く、AIが文脈を理解しやすい。
  • デメリット:
    • 実装が複雑になる。「睡眠」や「授乳間隔」など、どのイベントを「セッション」とみなすか、ロジックを組む必要がある。

今回採用する戦略

それぞれの戦略に一長一短がありますが、今回は 「戦略2:1日=1チャンク」を基本戦略として採用 します。

理由は以下の通りです。 - 汎用性の高さ: 育児に関する日常的な質問の多くは「今日」「昨日」といった1日単位でなされるため、最も実用的です。 - 実装の容易さ: Pandasを使えば、日付でデータをグループ化するのは非常に簡単です。 - 情報の網羅性: 1日分の全イベントが含まれるため、文脈を失いにくいです。

まずはこの基本戦略でRAGシステムを構築し、もし「夜間の睡眠時間を正確に知りたい」といった、より高度な要求が出てきた場合に、「戦略3」のようなセッションベースのチャンキングを補助的に追加していくのが良いでしょう。

Pandasで日ごとのチャンクを作成する

それでは、実際にPandasを使って日ごとのチャンク(テキスト)を作成してみましょう。chunking.py という新しいファイルを作成します。

# chunking.py
import pandas as pd
import json

# 前回作成した前処理済みデータを読み込む
df = pd.read_csv('piyolog_preprocessed.csv', index_col='datetime', parse_dates=True)

def create_daily_chunks(dataframe):
    """
    DataFrameを日ごとのテキストチャンクに変換する
    """
    chunks = []
    # 日付(YYYY-MM-DD)でグループ化
    for date, daily_df in dataframe.groupby(dataframe.index.date):
        chunk_text = f"日付: {date.strftime('%Y年%m月%d日')}\n"
        chunk_text += "--------------------\n"
        
        # その日のイベントを時系列で記述
        for _, row in daily_df.iterrows():
            time_str = row.name.strftime('%H:%M')
            event_str = row['event']
            
            details = []
            if event_str == '起きる' and pd.notna(row['sleep_duration_min']):
                details.append(f"睡眠時間: {int(row['sleep_duration_min'])}分")
            elif event_str == 'ミルク' and pd.notna(row['milk_ml']):
                details.append(f"量: {int(row['milk_ml'])}ml")
            elif event_str == '母乳' and (pd.notna(row['breast_milk_left_min']) or pd.notna(row['breast_milk_right_min'])):
                left = int(row.get('breast_milk_left_min', 0))
                right = int(row.get('breast_milk_right_min', 0))
                details.append(f"授乳時間: 左{left}分, 右{right}分")

            detail_str = ", ".join(details)
            
            chunk_text += f"時刻: {time_str}, イベント: {event_str}"
            if detail_str:
                chunk_text += f" ({detail_str})"
            chunk_text += "\n"
            
        # 1日のサマリー情報を追記
        chunk_text += "--------------------\n"
        chunk_text += "1日のサマリー:\n"
        
        total_sleep = int(daily_df['sleep_duration_min'].sum())
        total_milk = int(daily_df['milk_ml'].sum())
        total_breast_left = int(daily_df['breast_milk_left_min'].sum())
        total_breast_right = int(daily_df['breast_milk_right_min'].sum())
        urine_count = int((daily_df['event'] == 'おしっこ').sum())
        poo_count = int((daily_df['event'] == 'うんち').sum())

        chunk_text += f"- 合計睡眠時間: {total_sleep}分\n"
        chunk_text += f"- ミルク合計: {total_milk}ml\n"
        chunk_text += f"- 母乳合計: 左{total_breast_left}分, 右{total_breast_right}分\n"
        chunk_text += f"- おしっこ: {urine_count}回\n"
        chunk_text += f"- うんち: {poo_count}回\n"

        chunks.append(chunk_text)
    return chunks

# チャンクを作成
daily_chunks = create_daily_chunks(df)

# 最初の2つのチャンクを表示して確認
for chunk in daily_chunks[:2]:
    print(chunk)
    print("====================\n")

# 生成したチャンクを、人間も読みやすいように区切り文字を入れてテキストファイルとして保存
separator = "\n\n---次の日の記録---\n\n"
with open('piyolog_chunks.txt', 'w', encoding='utf-8') as f:
    f.write(separator.join(daily_chunks))

print("piyolog_chunks.txt にチャンクを保存しました。")

これを実行すると、以下のような人間が読んでも分かりやすい形式のテキストファイル piyolog_chunks.txt が生成されます。

日付: 2022年05月24日
--------------------
時刻: 22:15, イベント: おしっこ
時刻: 22:15, イベント: うんち
時刻: 22:30, イベント: ミルク (量: 40ml)
時刻: 22:40, イベント: 寝る
--------------------
1日のサマリー:
- 合計睡眠時間: 0分
- ミルク合計: 40ml
- 母乳合計: 左0分, 右0分
- おしっこ: 1回
- うんち: 1回

---次の日の記録---

日付: 2022年06月01日
--------------------
時刻: 00:55, イベント: 起きる (睡眠時間: 115分)
...

この一つ一つのテキストが、AIが知識を検索するための「本のページ」のような役割を果たします。

最後に

今回は、RAGシステム構築の勘所である「チャンキング」について、その目的と具体的な戦略を考え、実装しました。適切なチャンキングは、AIアシスタントの応答の質を左右する非常に重要な工程です。

「1日ごとの記録」 という、人間にとっても分かりやすい単位でデータを区切り、さらに 「1日のサマリー」 を追記することで、AIがユーザーの質問の意図を汲み取り、的確な情報を探し出すための良い土台ができました。

これで、知識の海を区画整理し、ページ分けする作業は完了です。次回は、いよいよこれらの「ページ(チャンク)」の内容を、AIが理解できる「数値の言葉(ベクトル)」に変換するエンベディングという魔法のステップに進みます。

次の記事

【ComfyUI】2025年現在の私のAI動画・音声生成ワークフローまとめ

こんにちは、たねやつです。

今回は、2025年現在、私がComfyUIをメインに使って行っているAI動画・音声生成のワークフローについて、備忘録も兼ねてまとめてみたいと思います。色々なツールを組み合わせて、かなり効率的に作業できるようになってきました。

この記事でできること

  • 現在のAI動画・音声生成で使っているツールセットがわかる
  • ComfyUIでの動画生成(Wan2.2)の具体的な設定値がわかる
  • Stable-AudioXでの音声生成設定の勘所がわかる
  • Open-WebUIを活用したプロンプト生成の効率化方法がわかる

事前に必要なもの

この記事で紹介するワークフローを試すためには、以下のツールや環境が必要です。

ハードウェア

ソフトウェア

  • ComfyUI: ノードベースのStable Diffusion UI。
  • Wan2.2 14B: 動画生成モデル。
  • Stable-AudioX: 音声生成モデル。
  • Open-WebUI: LLM(大規模言語モデル)を操作するためのWebUI。

現在のワークフロー

現在の私のワークフローは、主に以下の3つのAIツールを連携させて構成されています。

  1. 動画生成: Wan2.2 14B をComfyUI上で動かす
  2. 音声生成: Stable-AudioX で動画に合うBGMや効果音を生成
  3. プロンプト・メタデータ生成: Open-WebUI で各種AIへの指示やYouTubeのタイトルなどを生成

それぞれの詳細について解説します。

動画生成: Wan2.2 14B

動画のベースはWan2.2 14Bというモデルを使って生成しています。いくつか軽量化や高速化のための工夫をしています。

  • モデルの軽量化: Wan21_T2V_14B_lightx2v_cfg_step_distill_lora_rank32 というLoRAを適用し、軽量化を図っています。
  • メモリ対策: MultiGPU設定を利用し、GPUのVRAMに乗り切らないモデルの一部をメインメモリに退避させています。これにより、VRAMが比較的少ない環境でも動作させやすくなります。
  • 生成設定:
    • 解像度: 400 x 848 (9:16のアスペクト比)
    • 長さ: 97フレーム (24fpsで約4秒の動画)
    • ステップ数: 4ステップ
      • このモデルと解像度の組み合わせだと、4ステップでも十分綺麗な動画が生成される印象です。

Wan2.2を使用しているワークフロー

以下リンク先で詳細に説明しています!

音声生成: Stable-AudioX

動画に合わせる背景音(BGMや環境音)はStable-AudioXで生成します。こちらもComfyUIのカスタムノードで利用可能です。

  • 設定のポイント:
    • ステップ数: 20ステップで十分だと感じています。デフォルト値だとノイズが多くなりがちなので、少し下げています。
    • 長さ: duration_secondsを、先に生成した動画の長さに合わせます。(今回の例では約4秒)

stable-audioxのワークフロー

以下記事で詳細に説明しています。

プロンプト・メタデータ生成: Open-WebUI

動画や音声を作る際のプロンプト、さらにはYouTubeに投稿する際のタイトルや説明文などは、すべてLLM(Open-WebUI経由)に生成してもらっています。 ワークスペースのシステムプロンプトに以下の「命令書」をセットしておくことで、毎回安定した品質の出力を得ることができます。

# 命令書:コンテンツ生成プロフェッショナル
### 制約条件
- **言語:** すべての成果物は**英語**でそれぞれCodeブロックでコピペしやすいように囲んで生成してください。
- **品質:** 各プロンプトは、それぞれのAIツールで最高品質の結果が得られるように、具体的かつ効果的なキーワード(例: cinematic, 8k, masterpiece, high-fidelity audio)を含めてください。
- **出力形式の厳守:** 以下の「出力形式」に記載された見出しと順序を必ず守って、一回の回答で全てを出力してください。

### 出力形式
---
**Video Generation Positive Prompt**
(A detailed, high-quality prompt for generating the video. Should include style, scene, composition, quality keywords.)

**Video Generation Negative Prompt**
(A prompt to specify what to avoid in the video. Should include common image artifacts and undesirable elements.)

**Audio Generation Positive Prompt**
(A prompt to generate background music and sound effects that match the video's atmosphere. Should include genre, instruments, mood, and quality keywords.)

**Audio Generation Negative Prompt**
(A prompt to specify what to avoid in the audio. Should include noise, distortion, and other undesirable audio artifacts.)

**YouTube Title**
(A catchy and SEO-friendly title for the YouTube video.)

**Hashtags**
(A list of relevant and popular hashtags, starting with #.)

**Description**
(A well-structured YouTube description that summarizes the video, includes a call-to-action, and relevant keywords.)
---

このプロンプトを一度設定しておけば、あとは作りたい動画のテーマを伝えるだけで、必要なプロンプト一式とYouTube用のメタデータをすべて一括で生成してくれるので、非常に効率的です。

最後に

今回は、2025年現在の私のAI動画・音声生成ワークフローを紹介しました。 それぞれのAIの進化が速いので、このワークフローもすぐに変わっていくかもしれませんが、現時点ではこの形が一番効率的でクオリティも出せると感じています。 この記事が、AIでのコンテンツ制作に挑戦している方の参考になれば幸いです。

【ぴよログでRAG: 第4回】前処理でデータを整形し、AIが理解しやすい形にする

こんにちは、たねやつです。

前回は、Pythonと正規表現を駆使して、ぴよログのテキストデータをプログラムで扱える「構造化データ(JSON形式)」に変換しました。これでデータ活用の第一歩を踏み出せました。

しかし、現在のデータはまだ「生の」状態です。例えば、ミルクの量が 240ml という文字列のままだったり、日付と時刻が別の項目になっていたりと、このままではAIがデータの意味を正確に理解し、計算などに使うことが困難です。

そこで今回は、データ分析の必須ライブラリである Pandas を使って、この生のデータをさらに洗練された形式に整える「データ前処理」を行います。AIにとって分かりやすく、栄養価の高い"食事"を用意してあげるようなイメージですね!

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この記事でできること

  • 前回作成したJSONデータを、Pythonのデータ分析ライブラリ PandasDataFrame という形式で読み込む方法がわかる。
  • 日付と時刻の文字列を結合し、時系列分析に不可欠な datetime 型に変換する方法を習得できる。
  • 「240ml」や「5分」のような文字列から、数値だけを抽出して計算可能な形式にクレンジングする方法がわかる。
  • データをより扱いやすくするために、データ型を適切に変換する作業の重要性が理解できる。

事前に必要なもの

  • Pythonの実行環境
  • Pandasライブラリ: 本記事の主役です。インストールされていない場合は、ターミナル(コマンドプロンプト)で以下のコマンドを実行してください。
python -m venv venv
.\venv\Scripts\activate
pip install pandas
  • 前回の成果物: parse_piyolog.py と、それによって生成されたJSONデータ。今回はこのJSONデータを入力として使います。

Pandas DataFrameにデータを読み込む

まずは、前回作成したパーサー (parse_piyolog.py) の末尾を少し改造して、解析結果をJSONファイルとして出力するようにしましょう。そして、そのJSONファイルをPandasで読み込みます。

1. parse_piyolog.py を修正してJSONファイルを出力

if __name__ == '__main__': ブロックを以下のように変更します。標準出力に表示していた部分を、ファイルに書き出す処理に置き換えるだけです。

# parse_piyolog.py の if __name__ == '__main__': ブロックを修正

if __name__ == '__main__':
    # スクリプトが直接実行された場合に以下の処理を行う
    logs_directory = 'logs'
    structured_data = parse_all_logs(logs_directory)

    # 日付と時刻でソートする
    structured_data.sort(key=lambda x: (x['date'], x['time']))

    # 結果をJSONファイルとして保存
    with open('piyolog_structured.json', 'w', encoding='utf-8') as f:
        json.dump(structured_data, f, indent=2, ensure_ascii=False)

    print(f"'{logs_directory}' ディレクトリのログを解析し、piyolog_structured.json に保存しました。")

このスクリプトを再度実行すると、piyolog_structured.json というファイルがプロジェクトフォルダ内に生成されます。

2. 新しいスクリプトでJSONをDataFrameに読み込む

ここからが本番です。preprocess_data.py という新しいファイルを作成し、Pandasを使ってデータを読み込みます。

# preprocess_data.py
import pandas as pd

# JSONファイルを読み込んでDataFrameを作成
df = pd.read_json('piyolog_structured.json')

# 最初の5行を表示して、正しく読み込めたか確認
print(df.head())

これを実行すると、スプレッドシートのような表形式でデータが表示されるはずです。この表が DataFrame で、Pandasでデータを扱う際の基本単位となります。

         date   time event        detail  memo
0  2022/05/24  22:15   おしっこ          None  None
1  2022/05/24  22:15    うんち          None  None
2  2022/05/24  22:30    ミルク           40ml  None
3  2022/05/24  22:40     寝る          None  None
4  2022/06/01  00:55    起きる     (1時間55分)  None

データ前処理の実装

ここから、このDataFrameを本格的に加工していきます。AIが理解しやすいように、イベントごとに情報を整理し、新しいカラムを追加していくのが目標です。

1. 日付と時刻を datetime 型に変換

まずは基本のキ。datetime カラムは現在ただの文字列(object型)です。これらを結合して、Pandasが時刻として認識できる datetime 型に変換します。これにより、後々「2時間後のイベント」のような時間計算が簡単にできるようになります。

# preprocess_data.py (続き)

# dateとtimeを結合して新しい'datetime'カラムを作成
# errors='coerce'は、変換できない値があった場合にエラーとせず、NaT(Not a Time)として扱うオプション
df['datetime'] = pd.to_datetime(df['date'] + ' ' + df['time'], errors='coerce')

# 元のdateとtimeカラムは不要なので削除
df = df.drop(columns=['date', 'time'])

# datetimeをインデックスに設定すると、時系列データとして扱いやすくなる
df = df.set_index('datetime')

# info()でデータ型が変換されたか、head()でデータの中身を確認
print("--- datetime変換後 ---")
print(df.info())
print(df.head())

df.info() の出力を見ると、インデックスが DatetimeIndex という型に変わっていることが確認できます。これで時系列データを扱う準備が整いました。

2. detail カラムをイベントごとに解析

次に、本丸である detail カラムのクレンジングです。このカラムには (1時間55分)左14分 ◀ 右7分 のように、イベントの種類によって全く異なる形式の情報が入っています。

そこで、イベントの種類 (event カラムの値) に応じて、それぞれ専用の解析処理を適用し、意味のある新しいカラム(sleep_duration_minmilk_ml など)を作成していきます。

ヘルパー関数を定義する

まずは、特定の文字列から数値を抽出するための小さな関数をいくつか定義します。正規表現が再び活躍します。

# preprocess_data.py (続き)
import re

def get_sleep_duration(detail):
    """ 'xx時間yy分' から合計分を計算する """
    if pd.isna(detail): return None
    h_match = re.search(r'(\d+)時間', str(detail))
    m_match = re.search(r'(\d+)分', str(detail))
    hours = int(h_match.group(1)) if h_match else 0
    minutes = int(m_match.group(1)) if m_match else 0
    return hours * 60 + minutes

def get_milk_volume(detail):
    """ 'xxxml' から数値(xxx)を抽出する """
    if pd.isna(detail): return None
    match = re.search(r'(\d+)ml', str(detail))
    return int(match.group(1)) if match else None

def get_breast_milk_time(detail, side):
    """ '左x分 / 右y分' などから左右それぞれの時間を抽出する """
    if pd.isna(detail): return 0 # データがない場合は0分とする
    
    pattern = r'左(\d+)分' if side == 'left' else r'右(\d+)分'
    match = re.search(pattern, str(detail))
    return int(match.group(1)) if match else 0

Pandasの apply を使ってデータを一括処理

次に、これらのヘルパー関数を使って、新しいカラムにデータを格納していきます。

# preprocess_data.py (続き)

# 「起きる」イベントから睡眠時間(分)を抽出
is_wakeup = df['event'] == '起きる'
df.loc[is_wakeup, 'sleep_duration_min'] = df.loc[is_wakeup, 'detail'].apply(get_sleep_duration)

# 「ミルク」イベントから量(ml)を抽出
is_milk = df['event'] == 'ミルク'
df.loc[is_milk, 'milk_ml'] = df.loc[is_milk, 'detail'].apply(get_milk_volume)

# 「母乳」イベントから左右の時間(分)を抽出
is_breast_milk = df['event'] == '母乳'
df.loc[is_breast_milk, 'breast_milk_left_min'] = df.loc[is_breast_milk, 'detail'].apply(get_breast_milk_time, side='left')
df.loc[is_breast_milk, 'breast_milk_right_min'] = df.loc[is_breast_milk, 'detail'].apply(get_breast_milk_time, side='right')

# 処理が終わった元のカラムは削除
df = df.drop(columns=['detail', 'memo'])

print("\n--- detail解析後 ---")
# '母乳'と'起きる'イベントの行だけをフィルタして表示してみる
print(df[is_breast_milk | is_wakeup].head())
  • df['event'] == '起きる' のような条件で、処理対象の行を絞り込みます(Boolean Indexing)。
  • .loc[行の条件, 列名] で対象のデータを選択し、.apply(関数) を使って一括で変換処理を適用しています。
  • これにより、イベントごとに最適化されたデータクレンジングが実現できました。

コード全体像

preprocess_data.py の最終的なコードは以下のようになります。

# preprocess_data.py
import pandas as pd
import re

# --- ヘルパー関数の定義 ---
def get_sleep_duration(detail):
    """ 'xx時間yy分' から合計分を計算する """
    if pd.isna(detail): return None
    h_match = re.search(r'(\d+)時間', str(detail))
    m_match = re.search(r'(\d+)分', str(detail))
    hours = int(h_match.group(1)) if h_match else 0
    minutes = int(m_match.group(1)) if m_match else 0
    return hours * 60 + minutes

def get_milk_volume(detail):
    """ 'xxxml' から数値(xxx)を抽出する """
    if pd.isna(detail): return None
    match = re.search(r'(\d+)ml', str(detail))
    return int(match.group(1)) if match else None

def get_breast_milk_time(detail, side):
    """ '左x分 / 右y分' などから左右それぞれの時間を抽出する """
    if pd.isna(detail): return 0
    pattern = r'左(\d+)分' if side == 'left' else r'右(\d+)分'
    match = re.search(pattern, str(detail))
    return int(match.group(1)) if match else 0

# --- メイン処理 ---
# 1. データの読み込み
df = pd.read_json('piyolog_structured.json')

# 2. datetimeへの変換とインデックス設定
# dateとtimeを文字列として結合し、datetime型に変換
df['datetime'] = pd.to_datetime(df['date'].astype(str) + ' ' + df['time'].astype(str), errors='coerce')
df = df.drop(columns=['date', 'time'])
df = df.set_index('datetime')

# 3. イベントごとのデータ抽出
# 「起きる」イベントから睡眠時間(分)を抽出
is_wakeup = df['event'] == '起きる'
df.loc[is_wakeup, 'sleep_duration_min'] = df.loc[is_wakeup, 'detail'].apply(get_sleep_duration)

# 「ミルク」イベントから量(ml)を抽出
is_milk = df['event'] == 'ミルク'
df.loc[is_milk, 'milk_ml'] = df.loc[is_milk, 'detail'].apply(get_milk_volume)

# 「母乳」イベントから左右の時間(分)を抽出
is_breast_milk = df['event'] == '母乳'
df.loc[is_breast_milk, 'breast_milk_left_min'] = df.loc[is_breast_milk, 'detail'].apply(get_breast_milk_time, side='left')
df.loc[is_breast_milk, 'breast_milk_right_min'] = df.loc[is_breast_milk, 'detail'].apply(get_breast_milk_time, side='right')

# 4. 不要なカラムの削除と結果の保存
df = df.drop(columns=['detail', 'memo'])

# 念のためインデックス(datetime)でソートして時系列順を保証します
df = df.sort_index()

# 処理結果をCSVファイルとして保存
df.to_csv('piyolog_preprocessed.csv')

print("--- 最終的なDataFrame ---")
print(df.head())
print("\n--- データ型 ---")
print(df.info())
print("\npiyolog_preprocessed.csv に保存しました。")

最後に

今回は、データ分析の土台作りとして非常に重要な「データ前処理」のプロセスを、Pandasを使って実践しました。生のデータをそのまま使うのではなく、このように一手間加えてあげることで、後続のAIモデルのパフォーマンスは劇的に向上します。

  • 文字列を datetime 型に変換して、時間の概念をコンピュータに理解させる。
  • イベントごとに文字列から数値や単位を分離して、計算可能なデータと意味のあるカテゴリに分ける。

これらの作業は、RAGシステムに限らず、あらゆるデータサイエンスのタスクで基本となる考え方です。

さて、これでようやくAIに入力するための「きれいなデータ」が準備できました。次回は、このデータをRAGシステムで使えるように、意味のある塊(チャンク)に分割する「チャンキング」というステップに進みます。

次の記事

【ComfyUI】Redditで発見!Wan 2.2の表現力が爆上がりする神プロンプト集

こんにちは、たねやつです。

今回はComfyUIの動画生成で利用できる、高品質な動画生成モデル「Wan 2.2」向けの素晴らしいプロンプト集がRedditで公開されていたのでご紹介します。動画生成のクオリティを向上させたい方は必見です!

この記事でできること

  • Wan 2.2モデルに適したプロンプト集の存在を知る。
  • プロンプト集へのアクセス方法と使い方を理解する。
  • 動画生成の表現の幅を広げるヒントを得る。

事前に必要なもの

  • ComfyUIの基本的な実行環境
  • Wan 2.2で動画生成ができる状態

Redditで発見!有志によるプロンプト集

今回ご紹介するのは、RedditのComfyUIコミュニティ(r/comfyui)でユーザーのu/MrJiks氏が公開してくれたプロンプト集です。

https://www.reddit.com/r/comfyui/comments/1mgr9pa/curated_nearly_100_awesome_prompts_for_wan_22

なんと、Wan 2.2の公式ドキュメントに掲載されている約100個ものプロンプトを、より使いやすい形に整理してくれています。

Webアプリで簡単コピー&ペースト

このプロンプト集の素晴らしい点は、専用のWebアプリケーションとして提供されているところです。

Webサイトにアクセスすると、「Motion Action」や「Lighting」、「Time of Day」といったカテゴリ別にプロンプトが整理されています。気になるプロンプトをクリックするだけでクリップボードにコピーされるため、すぐにComfyUIのプロンプト入力欄に貼り付けて試すことができます。

公式ドキュメントを自分で見に行く手間が省け、かつ生成される動画のイメージもすぐ確認できるため非常に効率的に様々なスDタイルを試せるのが嬉しいですね!

最後に

今回は、Wan 2.2モデルのための高品質なプロンプト集をご紹介しました。

単にプロンプトをコピーして使うだけでなく、これらの作例を参考にしながら「こういう表現をしたい場合は、こういう単語を使えばいいのか」と学ぶことで、自身のプロンプトエンジニアリングのスキルアップにも繋がるはずです。

このような素晴らしいリソースをまとめて公開してくれたu/MrJiks氏に感謝です!

ComfyUIとWan2.2を使って画像から動画を生成するコツ

こんにちは、たねやつです。

今回は、ComfyUIとAnimateDiffの新しいモデル「Wan2.2」を使用して、一枚の画像から動画を生成する(Image to Video)際のコツや注意点についてまとめます。

この記事でできること

  • ComfyUIで既存の画像から動画を生成できるようになる。
  • AnimateDiff-Wan2.2モデルを使った動画生成のコツがわかる。
  • 画像から動画を生成する際の、成功しやすいケースと失敗しやすいケースを理解できる。

事前に必要なもの

  • ComfyUIの実行環境
  • AnimateDiff-Wan2.2モデル
  • 動画に変換したい画像

画像から動画を生成する手順とコツ

基本的には、AnimateDiff用のComfyUIテンプレートワークフローを使用することで、比較的簡単に画像から動画への変換を試すことができます。今回はその中で気づいた点や、より品質を上げるためのコツをいくつか紹介します。

パラメータ設定の注意点

t2vの場合は基本的に ステップ数fps の設定にで問題ないですが、i2vの場合は単純に ステップ数 / fps = 動画の秒数 と考えて設定すると、特にステップ数が少ない場合に動画が破綻しやすくなる傾向があります。

例えば4秒程度の動画を生成する場合でも、ステップ数は最低でも10以上を確保すると、比較的安定した品質の動画が得られました。

ひとまず30分ほどで出力できる8ステップで出力してみています。

www.youtube.com

アニメ系のイラストはステップ数が少ないと破綻しやすい

Wan2.2モデル自体が実写系のデータセットで学習されているためか、アニメ調のイラストを元に動画を生成しようとすると、キャラクターの顔や細部が崩れやすいようです。

何度か試行しましたが、安定して高品質なアニメ風動画を生成するのは難しい印象でした。ステップ数をもっと増やせば改善すると思いますが、RTX3060では厳しい感じですね。。。

実写系の画像は非常に滑らか

一方で、実写系の画像(風景、人物など)を元にした動画生成は、非常に高品質で滑らかな結果が得られます。

驚いたのは、元画像に写っていない部分(例えば、人物の背後など)も、AIが自然に補完して違和感のない動画を生成してくれる点です。複数人が映っている場合の前後関係の矛盾も少なく、AIによる生成とは思えないほどのクオリティでした。

生成時間と使い分け

当然ながら、画像生成 → 動画生成 という2段階のプロセスを経るため、プロンプトから直接動画を生成する場合よりも時間はかかります。

  • 手元に動画化したい特定の画像がある場合: このImage to Videoの手法が有効です。
  • プロンプトだけでゼロから動画を作りたい場合: 最初からVideo to Videoのワークフローで生成する方が効率的です。

最後に

今回は、ComfyUIとAnimateDiff-Wan2.2モデルを使って画像から動画を生成する際のポイントについて解説しました。 特に実写系の画像との相性は抜群で、驚くほど自然な動画を生成できることがわかりました。アニメ系にはまだ課題が残りますが、今後のモデルの進化に期待したいところです。

【ComfyUI画像生成】ControlNetでポーズや構図を正確に指定する

こんにちは、たねやつです。

ComfyUI講座の続きです。前回はLoRAを使ってキャラクターや画風を適用する方法を学びました。今回は、画像生成におけるもう一つの革命的な技術、「ControlNet」をComfyUIで利用する方法を解説します。

ControlNetを使うと、参照する画像から骨格(ポーズ)や輪郭、奥行きなどの情報を抽出し、それをガイドにして新しい画像を生成することができます。「こういうポーズのキャラクターを描いてほしい!」という願いを、驚くほど正確に実現してくれる強力なツールです。

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www.taneyats.com

この記事でできること

  • ControlNetの基本的な仕組みがわかる
  • ComfyUIでControlNetを使ったワークフローを組める
  • 参照画像からポーズを抽出して、同じポーズの別キャラクターを生成できる

事前に必要なもの

  • これまでのワークフロー: 02_lora.mdで作成したもの。
  • ControlNet Preprocessors (カスタムノード): OpenPose Preprocessorなどの前処理ノードは、標準のComfyUIには含まれていません。別途カスタムノード comfyui_controlnet_aux を導入する必要があります。
    • ComfyUI-Managerを利用するのが最も簡単です。「Install Custom Nodes」からcomfyui_controlnet_auxを検索してインストールしてください。
  • ControlNetモデル (Apply用): ControlNetを適用するためのモデルです。今回はSDXL用のOpenPoseモデルを使用します。
    • OpenPoseXL2.safetensors を上記リンクからダウンロードし、ComfyUI/models/controlnet/に配置します。

手順

ControlNetモデルの配置

まず、ダウンロードしたControlNetモデルをComfyUIが読み込める場所に配置します。

  1. ComfyUIフォルダの中のmodelsフォルダを開きます。
  2. さらにその中のcontrolnetフォルダを開きます。
  3. このComfyUI/models/controlnet/に、ダウンロードしたControlNetモデル(.pth.safetensorsファイル)をコピーします。

ControlNet用のワークフロー構築

これまでのワークフローに、ControlNet関連のノードを追加していきます。説明が煩雑になるので画像を確認してください。

前回使用したLoRAはCtrl Bでバイパスするようにしておきます。こうするとつながりを維持しつつオンオフできるので便利ですね。

ここで行っている作業は要するに、単一のモデル(SD-XL)を使用して1枚目の画像を生成 → そこからOpenpose用の画像を生成して、同じモデル・プロンプトで別シードで画像を生成しなおすという感じです。

画像の生成

下の画像が2枚目の生成画像なのですが、1枚目と同じポーズをしていますね。こういった感じで参考となる画像さえあれば同じポーズをした画像を生成することができるということです。

最後に

今回は、ControlNetを使ってポーズを正確にコントロールする方法を解説しました。これにより、画像生成のランダム性が大きく減り、「こういう絵が欲しい」という意図をよりダイレクトに反映できるようになります。

OpenPose以外にも、輪郭線を抽出するCannyや、深度情報を抽出するDepthなど、様々な種類のControlNetモデルがあります。これらを使い分けることで、さらに多彩な表現が可能になります。

次の記事

次回は、1枚の画像からキャラクターの顔や服装の特徴を学習し、別の構図でそのキャラクターを登場させることができる「IPAdapter」という技術を紹介します。

www.taneyats.com

【噂】Gemini 3.0 Flashが今月登場?Redditで飛び交う憶測を追ってみた

こんにちは、たねやつです。

Googleの次世代AIモデル「Gemini」に関する噂が、海外の掲示板Redditで話題となっています。今回は、「Gemini 3.0 Flash」のリリースに関する憶測やユーザーの反応をまとめてみました。

この記事でわかること

  • 海外のAIコミュニティで話題になっている「Gemini 3.0 Flash」の噂の内容
  • 次期モデルに対するユーザーの期待や憶測
  • 現行モデル(Gemini 2.5 Pro)に対するユーザーの評価

発端は一枚の画像から

Redditのr/Bardコミュニティに投稿された一枚の画像が、この議論のきっかけとなりました。 gemini-3.0-flashの存在を示唆するスライド

これが単なる憶測なのか、あるいは何らかのリーク情報なのかは不明ですが、この投稿をきっかけに多くのユーザーが次期モデルへの期待や予想を語り始めました。

リリース時期に関する様々な憶測

コメント欄では、Gemini 3.0 Flashのリリース時期について様々な意見が交わされています。

  • GPT-5の後を追う?: OpenAIの次期モデル「GPT-5」のリリース後に発表されるのではないか、という見方があります。
  • 9月以降のリリース?: 具体的な時期として、9月以降になるだろうと予測する声もあります。

現時点では公式なアナウンスはなく、あくまでユーザー間の憶測の域を出ていません。

現行モデルへの評価と次期モデルへの期待

今回の議論の中では、現在提供されている「Gemini 2.5 Pro」に対する評価についても言及されています。

一部のユーザーは「非常に印象的だ」とその性能を高く評価している一方で、動作に関する問題を指摘する声もあり、評価は分かれているようです。

このような現状も踏まえ、より高速・高性能になったであろう「3.0 Flash」の登場に期待が高まっています。

最後に

今回は、Redditで話題となっている「Gemini 3.0 Flash」に関する噂を追ってみました。まだ憶測の段階ではありますが、世界中のユーザーがGoogleの次世代AIに大きな期待を寄せていることがわかります。

公式の発表が待ち遠しいですね!

引用・参考