たねやつの木

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AnythingLLMで始めるローカル版「NotebookLM」構築

こんにちは、たねやつです。

Googleが提供する「NotebookLM」は、ドキュメントをアップロードするだけで、その内容についてAIと対話できる非常に強力なツールです。しかし、「手元のプライベートな文書をクラウドにアップロードするのは少し不安…」「インターネットがない環境でも使いたい…」と感じる方も少なくないのではないでしょうか。

もし、あの便利な環境を自分のPC上に、完全にローカルで構築できたら最高ですよね!

実は、最近のオープンソース技術の発展により、それが現実的なものとなっています。この記事では、NotebookLMの代替となるローカルRAG(Retrieval-Augmented Generation)ツールを紹介し、その中でも特に有望な「AnythingLLM」を使って、自分だけのプライベートな知識ベースを構築する手順を詳しく解説していきます。

この記事でできること

  • ローカルRAG(Retrieval-Augmented Generation)の基本的な仕組みがわかります。
  • NotebookLMの代替となるオープンソースツールを知ることができます。
  • AnythingLLMを使い、手持ちのPC上にドキュメント検索AIを構築する具体的な手順を学べます。

事前に必要なもの

  • ある程度のスペックを持つPC: 特にLLMを快適に動かすためには、数GB以上のVRAMを持つGPUがあると理想的です

NotebookLMの正体とローカルRAGの魅力

そもそもNotebookLMは、RAG (Retrieval-Augmented Generation) という技術に基づいています。これは、ユーザーが質問した際に、関連する情報をドキュメントから探し出し(Retrieval)、その情報をもとにLLMが回答を生成(Generation)する仕組みです。

RAGの簡単な流れ

  1. データ準備: ドキュメントを小さな塊(チャンク)に分割し、それぞれをベクトル(数値の配列)に変換してデータベースに保存します。
  2. 検索: ユーザーの質問も同様にベクトル化し、データベース内から関連度の高いチャンクを検索します。
  3. 生成: 検索で見つかったチャンクと元の質問を一緒にLLMに渡し、文脈に基づいた正確な回答を生成させます。

ポイントとしてはRAGの性能はツールの選択だけでなく、「ドキュメントをどう分割(チャンキング)し、いかに賢く検索するか」という戦略が非常に重要になります。ローカルでRAGを構築する最大のメリットは、このプロセスをすべて自分の手元でコントロールできる点、そして何よりプライバシーを完全に守れる点にあります。

ローカルで使えるNotebookLM代替ツール5選

Redditのスレッドでは、NotebookLMをローカルで再現するための様々なツールが提案されていました。ここではその中から特に注目の5つを紹介します。

  1. AnythingLLM UIが洗練されており、セットアップも比較的簡単な最有力候補です。OllamaやLM Studioなど、様々なローカルLLM実行環境と連携できます。この記事ではこのツールをメインに解説します。

  2. Obsidian + Local LLM 人気のノートアプリ「Obsidian」の豊富なプラグインを活用し、ローカルLLMと連携させる方法です。普段からObsidianでメモを取っている方には特に魅力的な選択肢でしょう。

  3. open-notebook 比較的新しいプロジェクトですが、今後の発展が期待されます。

【実践】AnythingLLMでローカル知識ベースを構築する

それでは、実際にAnythingLLMを使って、ローカル環境にNotebookLMのような環境を構築していきましょう。以前はDockerの知識が必要でしたが、今ではデスクトップアプリが登場し、誰でも簡単に始められるようになりました。

1. AnythingLLM Desktopのインストール

まずは公式サイトから、お使いのOSに合ったデスクトップ版インストーラーをダウンロードして、インストールを実行します。

2. 初回起動とモデル設定

インストールが完了したら、アプリを起動します。

  1. LLMプロバイダーの選択: 最初にAIモデルをどこから持ってくるか尋ねられます。よくわからない場合は、一番上の「AnythingLLM」を選択しましょう。これだけで、アプリが必要なモデルを自動でダウンロードしてくれます。すでにPCにOllamaを入れている方は「Ollama」を選択すると、既存のモデルを活用できます。
  2. アンケートとワークスペース作成: 簡単なアンケートが表示されますが、スキップして構いません。その後、最初のワークスペースの名前を決めたら、初期設定は完了です。
  3. チャットモデルのダウンロード: 画面左下の設定アイコンから「AIプロバイダー」>「LLM」と進み、チャットに使用したいモデルを選択します。今回はGoogleの軽量モデルGemma3:4bを選んでみましょう。選択すると、右上でダウンロードの進捗が確認できます。
  4. 動作確認: モデルのダウンロードが終わったら、早速メイン画面でAIに話しかけてみましょう。「こんにちは」などの簡単な挨拶に返事が返ってくれば、セットアップは成功です!

3. RAGを使ってみよう! (ドキュメント読み込みと質問)

ここからが本番です。AIに自分だけの知識を教えていきましょう。

  1. ドキュメントの追加: ワークスペース名の横にある雲のアイコン(アップロード)をクリックします。PC上のファイル(PDF, TXT, MDなど)だけでなく、WebサイトのURLを直接読み込ませることも可能です。
  1. 情報源の収集: 例として、最近発表された新しいAIモデルに関する情報をURLで追加してみます。
    • https://huggingface.co/google/embeddinggemma-300m
    • https://huggingface.co/google/gemma-3-270m
    • https://ledge.ai/articles/apertus_open_multilingual_llm_epfl_ethz_cscs
  2. ベクトル化: 追加したドキュメントを左側の「Collector」から選択し、「ワークスペースへ移動」ボタンを押します。その後、「保存して埋め込む」をクリックすると、AIがドキュメントを理解するためのベクトル変換が始まります。ドキュメントの量が多いと少し時間がかかります。
  1. 質問してみる: 準備は完了です!チャットで、読み込ませたドキュメントの内容について質問してみましょう。
    • 「EmbeddingGemmaについて教えて」
    • 「Gemma3:270mの特徴は何ですか?」

    AIがドキュメントの情報を正確に引用して回答できれば、あなただけのRAG環境の完成です!

4. 【重要】埋め込みモデルの最適化で精度を上げる

もしAIの回答が的を得なかったり、無関係な情報を返してきたりする場合(ハルシネーション)、ドキュメントをベクトル化する「埋め込みモデル」が原因かもしれません。

AnythingLLMの初期設定(All-MiniLM-L6-V2)は英語に特化しているため、日本語のドキュメントではうまく機能しないことがあります。より高性能で多言語に対応したモデルに変更しましょう。

  1. 埋め込みモデルの変更: 設定 > AIプロバイダー > 埋め込みエンジン と進み、「Model Preference」をmultilingual-e5-smallに変更します。
  2. データベースの再構築:
    埋め込みモデルを変更すると、既存のベクトルデータは使えなくなります。お手数ですが、一度ワークスペース内のドキュメントを削除し、再度「3. RAGを使ってみよう!」の手順でドキュメントを追加・ベクトル化し直してください。

この一手間で、RAGの検索精度が劇的に向上する場合があります。ぜひ試してみてください。

最後に

今回は、Redditの情報を基に、ローカル環境でNotebookLMを再現する方法について、特にAnythingLLMを使った具体的な構築手順を紹介しました。一昔前は専門知識が必要だったRAG環境の構築が、今やデスクトップアプリのおかげで驚くほど簡単になっています。

**AIのハルシネーションに注意**
元のRedditスレッドでも言及されていましたが、NotebookLM自身も、そしてもちろんローカルLLMも、時には事実に基づかない回答(ハルシネーション)を生成することがあります。AIの回答は常に鵜呑みにせず、重要な判断に用いる際は引用元を確認する癖をつけましょう。

プライバシーを気にすることなく、自分だけの知識やデータをAIに学習させ、対話できる環境は、学習や仕事の効率を大きく向上させる可能性を秘めています。ぜひ、この記事を参考に、あなただけの強力な「第二の脳」を育ててみてください。

参考・引用