こんにちは、たねやつです。
自作キーボードの設計も、最近はRP2040のような安価で高性能なマイコンが手軽に使えるようになり、表現の幅が大きく広がりました。しかし、これらの部品は表面実装(SMD)が前提となっていることが多く、はんだ付けのハードルを高く感じている方もいるかもしれません。
この記事では、私が実際にRP2040などの表面実装部品をはんだ付けする際に使用している道具と、具体的な手順について解説します。
この記事でできること
- 表面実装部品(SMD)のはんだ付けに必要な道具がわかる
- ヒートガンとペーストはんだを使ったSMDの実装手順がわかる
- 細かいパッドのはんだ付けのコツがわかる
事前に必要なもの
表面実装を始めるにあたり、以下の道具を揃えておくと作業がスムーズに進みます。
道具
基本的にすべてAliExpressにて揃えました。5000円もかからなかったはずです。
- ヒートガン: 部品全体を温めてはんだを溶かします。
- はんだごて: 予備はんだや、仕上げの追い込みに使います。小手先は 3C や 4C のような少し太さのあるものがおすすめです。
- ピンセット: 細かい部品を基板に乗せる際に必須です。
消耗品
- ペーストはんだ: はんだとフラックスが混ざったもの。注射器タイプが使いやすいです。
- 表面実装用フラックス: はんだの濡れ性を向上させ、ブリッジなどを防ぎます。
- IPA(イソプロピルアルコール) or 無水エタノール: はんだ付け後に残ったフラックスを洗浄するために使用します。
- 子ども用綿棒: 先が細く、フラックスの拭き取りに便利です。
手順
大まかな流れは、「基板にペーストはんだを塗る」→「部品を乗せる」→「ヒートガンで熱する」となります。
1. 基板の準備と予備はんだ
まず、基板のはんだ付けするパッド(ランド)をきれいにします。IPAなどを含ませた綿棒で表面の油分や汚れを拭き取っておきましょう。
次に、パッドに「予備はんだ」をしていきます。
- ペーストはんだをパッドに乗せる: パッドの上に、ごく少量のペーストはんだを出します。出しすぎると隣のパッドと繋がって(ブリッジして)しまうので、本当に少量で大丈夫です。
- フラックスを塗る: ペーストはんだの上に、フラックスを少し多めに塗ります。これにより、はんだがパッドに乗りやすくなります。
- はんだごてで熱する:
はんだごての先でパッドをサッとなでるように熱し、ペーストはんだを溶かします。パッドがキラキラと輝き、少し盛り上がる程度にはんだが乗れば成功です。
- 盛りすぎた場合: はんだごてを当てる時間を短くするか、フラックスを足してみてください。
- RP2040のような細かいパッド: より高速にはんだごてを動かします。目視が難しいですが、パッドの色が変わっていればOKです。後で修正できるので、ここでは神経質になりすぎなくても大丈夫です。
予備はんだが終わったら、一度IPAで基板上のフラックスをきれいに拭き取ります。
2. 部品の実装
いよいよ部品を基板に乗せていきます。
- フラックスを塗る: 部品を乗せる位置(パッド間の中央あたり)に、少量のフラックスを塗ります。これは、ヒートガンで熱した際に部品が風圧で飛んでいかないようにするための、接着剤の役割を果たします。
- 部品を乗せる:
ピンセットを使って、部品を慎重にパッドの上に乗せます。
- ICやRP2040: 部品の向きと、基板のシルク印刷のマークが合っているか必ず確認してください。
- ダイオード: カソードマーク(線)の向きを間違えないように注意しましょう。
3. ヒートガンでのリフロー
部品を乗せたら、ヒートガンで熱してはんだを溶かします(リフロー)。
- 小さく円を描くように、様々な角度から均等に熱を加えるのがコツです。
- はんだが溶けると、表面張力によって部品が正しい位置に「スッ」と引き寄せられます。
- もし部品の位置がずれてしまった場合は、ピンセットで軽くつついて調整します。
4. 仕上げ(追いはんだ)
ヒートガンだけではんだ付けが不十分な場合があるため、特に追加の固定が必要な部品は、はんだごてで仕上げます。
- RP2040やUSBレセプタクル: C型のこて先の先端を使い、各端子を軽くなぞるようにして、はんだ付けを確実なものにします。RP2040の場合は、ペーストはんだを少量追加しながら行うと、よりきれいに仕上がります。


5. 洗浄と動作チェック
最後に、子ども用綿棒にIPAを染み込ませ、基板に残ったフラックスをきれいに拭き取ります。フラックスが残っていると、後々腐食の原因になる可能性があります。
洗浄が終わったら、いよいよ動作チェックです。PCに接続する前に、以下の点を確認してください。
- 部品の向きは正しいか?
- ショートしていそうな箇所はないか?
PCに接続し、部品の異常な発熱や煙が出ないかを注意深く観察します。問題がなければ、はんだ付けは成功です。
最後に
表面実装は慣れるまで少し難しく感じるかもしれませんが、ヒートガンとペーストはんだを使えば、意外と簡単に、そしてきれいに仕上げることができます。この記事が、皆さんの自作キーボード製作の一助となれば幸いです。




