こんばんは、たねやつです。
今回はスマホ内に作成するデータベースについてです。
アプリの画面から登録した値を、アプリが終了した後でも保持しておくために必要となってきます。データベースがない(例えば登録した値はオブジェクトとして変数に保持しておくなど)アプリの場合、アプリの終了時に変数の値はクリアされてしまいます。
SQLというデータベースからデータを取得したりする新たな言語が出てきますので、ちょっと覚えることが多いかもしれませんが、今回の記事やこのアプリで使うSQL文はほぼ1行の比較的簡単なものです(^^)
前の記事
目標
- DB(データベース)を触る。
- CRUD(Create/Refer/Update/Delete)ができるようになる。
INSERT
,SELECT
,UPDATE
,DELETE
文を作成できるようになる。
といいましたが、SQLの文法については詳しく触れるつもりはないです。ちらりとProgateをのぞいてみましたが、最近はSQLなんかもあるんですね!これは心強い('ω')
SQLの基本などについては、
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0103/23/news003.html
らへんを参考にしてみてください。
プラグインのインストール
cordova-sqlite-storage
cordova-sqlite-storage
を使ってスマホ内にDBを作成します。プロジェクト内のターミナルで以下のコマンドを実行してプラグインをインストールします。
> cordova plugin add cordova-sqlite-storage ... Saved plugin info for "cordova-sqlite-storage" to config.xml
完了するとソースが追加され、config.xml
に一行追加されます。
<plugin name="cordova-sqlite-storage" spec="^2.4.0" />
コーディング
DBコネクションを取得する
DBにデータを登録したり参照したりするためには、まずは対象のデータベースとつながる必要があります。これをコネクションを取得といいます。SSHやFTPで接続先を指定して認証するのと同じような感じですね。
その前にアプリ起動時にテスト用の画面を呼び出すようにしましょう。list.html
を追加した時と同じような手順をsqltest.html
という名前で進めていきます。
index.html
のナビゲーターで指定しているpage
の値をsqltest.html
に変更
sqltest.html
というファイルをlist.html
と同じ場所に作成。中身はこんな感じでほぼ空のままにしておく
<ons-page id="sqltest.html"> </ons-page>
index.js
でsqltest.html
読み込み時の処理を追加する。
... } else if (page.id === 'sqltest.html') { js_sqltest.init(page); }
sqltest.js
をlist.js
と同じ場所に作成。中身はこんな感じ。
var js_sqltest = { init : function(page) { }, };
これでアプリアプリ起動時に今回のテスト用のページと処理(js_sqltest.init()
)が実行されるようになります。
次にinit
内にDBコネクションを取得する処理を書いていきます。
init : function(page) { // DBコネクションを取得 db = window.sqlitePlugin.openDatabase({ name : 'todolist.db', location : 'default', }) console.log(db); },
変数db
はグローバル変数として宣言(?)しています。あとからSELECTやINSERTする時に再度ここで取得したコネクションを使用するためです。ただ、グローバル変数を使用してしまうと、いろんなところから参照や値の書き換えができてしまうため、不具合発生時に原因調査が非常に難しくなります。
適切なスコープで変数の使用・廃棄をするのが望ましいですが、いい感じに受け渡すためのクラスも共通部品も今回は用意する予定がないのでとりあえずこれで進めていきます。あまり真似しないように!( 一一)
オブジェクト生成時の引数に、name
, location
を渡しています。location
に関しては以下のリンクで説明されていますが、特に何も考えずにdefault
を指定しておいて問題ないです。
アプリ起動後、デバッグコンソールに以下のような感じのログが出力されていればコネクション成功です。 (console.logを仕込まなくても、プラグインで勝手にログ出力してくれていますね('Д'))
SQLitePlugin {openargs: Object, dbname: "todolist.db", openSuccess: , openError: } sqltest.js:11 OPEN database: todolist.db - OK SQLitePlugin.js:179 DB opened: todolist.db SQLitePlugin.js:80
これでtodolist.db
に対してSQLを実行できる状態になりました。
SQLを実行する
テーブルを作成する
値を登録するためには、テーブルというものを作成する必要があります。感覚的にはエクセル
がデータベースでシート
がテーブル、列が登録されている値という感じになります。
まずは実行するCREATE TABLE
文を作成します。いったん文字列として値を代入して置くほうがスマートかもしれません。console.log()
の後にこの処理を追加します。
// テーブル作成用SQL var sql_create = "" + "CREATE TABLE IF NOT EXISTS test (" // カラム名 データ型 + " id INTEGER PRIMARY KEY," + " text TEXT" + ")"; console.log(sql_create); // SQLを実行 db.transaction(function(tx) { // 実行部分 tx.executeSql(sql_create); }, function(error) { // SQL処理エラー発生時の処理 console.log('エラーが発生しました : ' + error.message); }, function() { // SQL処理成功時の処理 console.log('テーブルが作成されました。'); })
SQLのCREATE TABLE
の構文としては、
CREATE TABLE (IF NOT EXISTS) [テーブル名] ( [カラム名] [データ型] [NULL制約], ... );
という感じです。NULL制約にNOT NULL
を指定したカラムは、INSERT時に値が指定されていない場合エラーとなります。必須項目という感じです。
テーブル作成時にIF NOT EXISTS
を追加することで、すでに同名のテーブルが存在してる場合何もしないようになります。
データ型の部分にINTEGER PRIMARY KEY
を指定するとSQLiteの場合は、自動でユニークなID値としてインクリメントしてくれるようです。PostgreSQLではserial
型を指定すると同様のことができるアレですね。
上のコードを書いて、アプリを実行すると自動的にSQLが実行されます。
エラーが発生している場合は、とりあえずconsole.log(sql_create);
で出力しているSQL文を確認して問題がないかを確認・エラーメッセージをググるなどして対処してください。カンマが足りていないとか逆に多すぎるというエラーが不注意で発生しがちです( 一一)
データを登録する(INSERT)
テーブルが作成できたら、次はデータを登録してみましょう。以下のように登録用のSQLを追加して、実行部分も一行追加します。追加で変数がごちゃごちゃしてきたので、オブジェクトにまとめたいと思います。
var sql = { create_table : "CREATE TABLE IF NOT EXISTS test (" // カラム名 データ型 + " id INTEGER PRIMARY KEY," + " text TEXT" + ")", insert : "INSERT INTO test (text) VALUES (?)", } // SQLを実行 db.transaction(function(tx) { // 実行部分 tx.executeSql(sql.create_table); tx.executeSql(sql.insert, ['テスト']); }, function(error) { // SQL処理エラー発生時の処理 console.log('エラーが発生しました : ' + error.message); }, function() { // SQL処理成功時の処理 console.log('処理成功'); })
INSERT文は以下のような文法です。
INSERT INTO [テーブル名] ([カラム名をカンマ区切りで指定]) VALUES([登録したい値をカンマ区切りで指定]);
VALUES()に?を指定しておくことで、実行時に一緒に渡す配列の前から順に値を投入してくれます。もちろんそのまま値を突っ込んでもいいですが可変な値をループしていれる場合なんかにはこっちのほうが便利です。(Prepared Statement)
tx.executeSql(sql.create_table);
の部分は残しておいても問題ないです。IF NOT EXISTS
条件を追加しているので、テーブルの存在していない初回起動時以外はテーブル作成は実行されません。
CURRENT_TIMESTAMP
を指定することで現在時刻のタイムスタンプを取得できます。
これを実行して処理が無事成功していれば、データは登録できています。
データを照会する(SELECT)
登録されたデータを確認するためには、SELECT
文を実行する必要があります。今後ほかの場面でもSQLを使うことが皆さんあると思いますが、9割方このSELECT文を実行することになります。
SELECT [取得したいカラム名] FROM [取得したいカラムのテーブル名] WHERE [条件]
という書式が基本形です。テーブルの結合やサブクエリなどをあげだすとキリがないですが、今回のアプリで使用するのは今のところ単純なWHERE条件での絞り込みなのでとあえず基本形だけでも覚えてみてください。
以下のコードで先ほどまでに登録したデータをすべて取得するSELECT文の発行と、取得できた値をすべてコンソールに出力することができます。一旦INSERT文を実行している部分はコメントアウトしておいてください。
var sql = { // ... select : "SELECT * FROM test", } //... (CREATE TABLE, INSERTの処理の部分はそのまま残しておいてください) // SQL(SELECT)を実行 db.transaction(function(tx) { tx.executeSql(sql.select, [], function(tx, result) { // SELECT文発行 console.log(result.rows.length); // 取得できた行数をログに出力 for (var i = 0; i < result.rows.length; i++) { // 取得できた行数分ループ console.log(result.rows.item(i)); // n行目のデータをログに出力 } }) })
SELECT
に*
を指定すると、対象のテーブルの全カラムの値を取得することになります。(今回ならidとtext)
今回のSELECT文には?を使用していないので、executeSql
の第2引数には空の配列を渡します。第3引数にはコールバック関数を指定します。引数result
のresult.rows.item
の中にSELECT文を実行した結果が格納されています。複数件の値を取得している場合は、result.rows.length
の値を使用してforで繰り返すことによって、全件参照できます。
オブジェクト型の値なので、あとはresult.rows.item(0).id
というような感じでカラム名をしていてあげることで1データの特定の値を参照できます。
データを更新する(UPDATE)
UPDATE文の文法は以下のような感じです。
UPDATE [テーブル名] SET [カラム名] = [更新後の値] WHERE [更新したい行だけを絞り込める条件]
肝となるのはWHERE
の条件部分で、この条件指定が間違っていると予期しない行のデータも更新してしまいます。
たとえば、会社に「田中太郎」さんが二人いるとします。
【従業員】テーブルの「田中太郎」(A)さんの退職フラグをTRUEにしたいときに、UPDATE 従業員 SET 退職F = TRUE WHERE 名前 = '田中太郎'
とすると、「田中太郎」(B)さんの退職フラグもTRUEになってしまいます!
もちろん「一気にどちらの田中太郎さんの退職フラグをTRUEにしたい」という場合は上記のSQLでも問題はありません。しかしたいていの場合は1件のデータに対してのみ操作したい場合がほとんどです。
基本的には、DBのテーブルには一行ごとに絶対にほか被らないユニークな値が設定されています。これがPRIMARY KEY
(主キー)と呼ばれるものです。たいていの場合は連番の数値となります。
今回のtestテーブルでもidというカラム名で指定していますね!
先ほどSELECT文を追加したときにコメントアウトしたINSERTの下に同じように追加します。
var sql = { //... update : "UPDATE test SET text = '更新しました' WHERE id = 1", } // SQL(CREATE TABLE, INSERT)を実行 db.transaction(function(tx) { // 実行部分 tx.executeSql(sql.create_table); // tx.executeSql(sql.insert, ['テスト']); // これをコメントアウト tx.executeSql(sql.update); // これを追加 }, function(error) { // SQL処理エラー発生時の処理 console.log('エラーが発生しました : ' + error.message); }, function() { // SQL処理成功時の処理 console.log('処理成功'); }) // ... (SELECTの処理)
更新が無事できていたら、先ほどのSELECT文の処理の部分で出力しているログで確認できます。
Object {id: 1, text: "更新しました"} Object {id: 2, text: "テスト"} Object {id: 3, text: "テスト"} Object {id: 4, text: "テスト"} Object {id: 5, text: "テスト"}
指定したIDの行だけ内容が変更されているでしょうか?
ちなみにWHERE条件を指定せずにUPDATE test SET text = NULL
とかを実行した場合、testテーブル内の全行にUPDATEが実行され、textがNULL(空)になりますのでご注意を!今回はテスト用のテーブルなので実行しても何ら問題はないですが、本番用のデータベースを触るときには要注意ですね( 一一)
データを削除する(DELETE)
UPDATEが無事成功していればこちらも同じような感じです。
DELETE FROM [テーブル名] WHERE [条件]
です。こちらの場合もUPDATEと同じくWHEREで絞り込む条件が重要になってきます!WHEREを指定しない場合、全件削除になるのでご注意を( 一一) ちなみにその全件削除をうまく利用した処理なんかも存在したりしています。
以下のように処理を変更してみてください。
var sql = { // ... delete : "DELETE FROM test WHERE id = 1", } // SQL(CREATE TABLE, INSERT)を実行 db.transaction(function(tx) { // 実行部分 tx.executeSql(sql.create_table); // tx.executeSql(sql.insert, ['テスト']); // tx.executeSql(sql.update); tx.executeSql(sql.delete); // この行を追加 }, function(error) { // SQL処理エラー発生時の処理 console.log('エラーが発生しました : ' + error.message); }, function() { // SQL処理成功時の処理 console.log('処理成功'); }) // ... (SELECTの処理)
ログに以下のように表示されていれば、成功です。 id = 1の行が削除されていますね!
Object {id: 2, text: "テスト"} Object {id: 3, text: "テスト"} Object {id: 4, text: "テスト"} Object {id: 5, text: "テスト"}
以上でローカルDBへのCRUDは終了です!お疲れさまでした ^^) _旦~~
忘れずにindex.html
のナビゲータに指定したpageの部分をlist.html
に戻しておいてください!
最後に
今回はあまりアプリの処理ではなくデータベースの部分がほとんど、しかも結構長かったので難しかったかもしれません。。。 ですがアプリや業務システムでも必ず必要になるSQLですので、覚えておいて損はないですね('ω')
次回からは再びアプリ画面に戻って、登録ボタンと登録画面の作成を進めていきたいと思います('ω')
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参考
公式ドキュメント
Cordova アプリ内に SQLite でローカル DB を構築できる cordova-sqlite-storage