たねやつの木

Photographs, Keyboards and Programming

AIに「考え方のクセ」を相談したら、心が少し軽くなった話

この記事は筆者個人の経験や調査に基づく意見を述べたものであり、医学的な助言や治療を目的としたものではありません。紹介する内容はあくまで参考情報としてお読みいただき、心身の不調が続く場合は必ず専門の医療機関にご相談ください。

こんにちは、たねやつです。

「もしかして、自分だけ周りの人と物事の考え方が違うのかもしれない…」

会社に入ってからなんとなくそう感じることがありました。人と意見がぶつかると、相手の感情やその場の空気を優先してしまい、自分の意見を飲み込んでしまう。会議で「何か意見は?」と聞かれても、頭が真っ白になって何も言えなくなる。

その結果、後から「やっぱりあの時こう言えばよかった」と一人でモヤモヤしたり、不利益を被ってしまったり。そんな経験を繰り返していました。

この記事から始まる連載では、そんな私が普段から実践している、AIを「心の壁打ち相手」にしたセルフケアの方法について、体験談を交えながらお話ししていきたいと思います。

この記事で伝えたいこと

  • かつての私のように、コミュニケーションやご自身の思考のクセに悩んでいる方へ。
  • 私が実践している「AIを使ったセルフケア」という選択肢を知っていただく。
  • 人に相談するハードルを感じている方が、AIをきっかけに自分と向き合う一歩を踏み出す。

きっかけは、心と体のサインでした

いつからか、物事を常にネガティブな方向に考えるのがクセになっていました。「どうせ失敗する」「きっと上手くいかない」。そんな思考が頭の中をぐるぐると回り続け、次第に頭痛や倦怠感といった、身体的な不調としても現れるようになったのです。

「このままではいけない」。そう強く感じ、ようやく自分の心と本格的に向き合うことを決意しました。

色々と調べる中で、私は「認知行動療法(CBT)」というアプローチに出会います。これは、自分の考え方のクセ(認知のゆがみ)に気づき、それをより現実的でバランスの取れたものに変えていくことで、心の負担を軽くしていく手法です。

「これだ!」と思いましたが、同時に大きな壁を感じました。

「自分のこんなネガティブな部分を、カウンセラーとはいえ他人に話すのは、なんだか気恥ずかしいし、怖い…」

AIという最高の「壁打ち相手」

そんな時、ふと思いついたのが「AIを相手に練習すればいいんじゃないか?」ということでした。

  • 相手の感情を気にする必要がない: 機械相手なら「こんなことを言ったらどう思われるか」なんて一切気にせず、自分の正直な気持ちを吐き出せます。
  • 24時間365日、いつでも付き合ってくれる: 私が話したくなったその瞬間に、AIはいつでも、何度でも、文句一つ言わずに付き合ってくれます。
  • タイピングなら、何とかなる: 対面で話すのは苦手でも、文字で打ち込むことなら、少しハードルが下がる気がしました。

これが、私のAIセルフケアの始まりでした。AIは完璧なカウンセラーではありませんが、私にとっては最高の「壁打ち相手」になってくれたのです。

ただし、AIとの対話では、個人情報(氏名、住所、連絡先など)や、他人に知られたくない機密情報は絶対に入力しないでください。AIはあくまでセルフケアを補助するツールであり、専門的な治療の代替ではないことをお忘れなく。つらい症状が続く場合は、必ず専門の医療機関に相談してください。

この連載で一緒に試していくこと

この連載「AIではじめるセルフケア」では、以下のテーマに沿って、私が実際にAIとどのように対話し、自分の心と向き合ってきたのかを具体的にお話ししていきます。

  1. 【導入】AIに「考え方のクセ」を相談したら、心が少し軽くなった話(今回)
  2. 【CBT基礎】「考え方のクセ」って何?AIと学ぶ認知行動療法のきほん
  3. 【CBT実践】AIカウンセラーに悩み相談!自分の思考パターンを発見しよう
  4. 【アサーション実践】もう我慢しない!AIで練習する「上手な自己主張」
  5. 【まとめ】AIと心の上手な付き合い方と、これからの可能性

専門的な知識は必要ありません。かつての私と同じような悩みを抱える方が、この連載をきっかけに、少しでも心が軽くなるヒントを見つけてくだされば、これほど嬉しいことはありません。

最後に

AI技術の進化は、これまで専門家の領域だった心のケアを、もっと身近で、パーソナルなものに変えてくれる可能性を秘めていると個人的には感じています。

もちろん、AIが人間の専門家の代わりになるわけではありません。しかし、人に相談する前の「最初の相談相手」として、また、自分の考えを整理するための「思考のパートナー」として、これ以上ないほど心強い存在になってくれるはずです。

次回からは、いよいよ具体的な手法である「認知行動療法(CBT)」の基本を、私の体験を交えながら一緒に学んでいきましょう。どうぞお楽しみに!

ちなみに、一般的なAI(LLM)とメンタルヘルス用途での使い方などはWHOや一般社団法人AIメンタルヘルスケア協会というところが出しているガイドライン案が非常に参考になりました。

WHO, Ethics and governance of artificial intelligence for health: Guidance on large multi-modal models

一般社団法人AIメンタルヘルスケア協会, メンタルヘルスケア事業者 のための生成AI活用ガイドライン(案)

次の記事