たねやつの木

Photographs, Keyboards and Programming

AIは、あなたの最高の「心の壁打ち相手」になる

この記事は筆者個人の経験や調査に基づく意見を述べたものであり、医学的な助言や治療を目的としたものではありません。紹介する内容はあくまで参考情報としてお読みいただき、心身の不調が続く場合は必ず専門の医療機関にご相談ください。

こんにちは、たねやつです。

5回にわたり、私がAIと一緒に自分の心と向き合ってきた道のりにお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

「自分だけが周りと違うのかもしれない」という孤独な悩みから始まった私のセルフケア。最終回となる今回は、これまでの旅を振り返りながら、私がこの連載を通して、かつての私と同じような悩みを抱えるあなたに、最も伝えたかったことをお話ししたいと思います。

この記事でできること

  • これまでの私の体験談(CBT、アサーション)を振り返ることができる。
  • AIをセルフケアに役立てるための、私なりの心構えがわかる。
  • 「人に相談するのが苦手」なあなたが、最初の一歩を踏み出すためのヒントが見つかる。

私の「心の旅」を振り返る

まずは、私がAIと歩んできた道のりを、一緒に振り返ってみましょう。

  • 第1回: すべては「悩み」から始まった コミュニケーションが上手くいかず、ネガティブ思考に陥っていた私が、藁にもすがる思いで「AIとの対話」というセルフケアにたどり着いた経緯をお話ししました。

  • 第2回: 私を縛っていた「考え方のクセ」の発見 CBTの考え方を通して、私を苦しめていたのが「白黒思考」や「べき思考」といった、無意識の「認知のゆがみ」であることに気づくまでの道のりを紹介しました。

  • 第3回: AIとの「思考のストレッチ」 実際に私がAIと対話し、凝り固まった自動思考を、より楽な考え(適応的思考)へとほぐしていく「心のストレッチ」の具体的なトレーニング風景をお見せしました。

  • 第4回: AI道場で「NO」を言う練習 私が最も苦手としていた「自己主張」を、AIに「頑固な上司」などのペルソナを演じてもらい、人間相手では不可能な、安全な環境で徹底的に練習したお話をしました。

この旅を通して私が実感したのは、AIは単なるおしゃべり相手ではなく、思考を整理し、行動を変えるための、最高の「壁打ち相手」になるということでした。

私がAIとの対話で、大切にしていること

この連載を読んで、「自分も試してみようかな」と思ってくれたあなたへ。私がAIと向き合う上で、今も大切にしている心構えを3つ、お伝えします。

1. AIは「答え」をくれるのではなく、「鏡」である

AIは、あなたの悩みを解決してくれる魔法の杖ではありません。AIは、あなたが打ち明けた言葉を、客観的な視点から映し出してくれる「鏡」です。大切なのは、鏡に映った自分の姿(「あ、自分は今こんな風に考えているんだ」)を、自分自身で受け止めること。AIの答えに一喜一憂するのではなく、AIとの対話を通して「自分に気づく」ことこそが、最も重要です。

2. 「完璧な自分」ではなく「正直な自分」でいること

AIの前では、格好つける必要は一切ありません。むしろ、格好悪いところ、ネガティブなところ、普段は人に見せられないようなドロドロした感情を、正直にぶつけることが、トレーニングの効果を何倍にも高めてくれます。AIは、絶対にあなたのことを批判したり、馬鹿にしたりしません。安心して、正直な自分をさらけ出してみてください。

3. 最終的なゴールは「現実世界」にある

AIとの対話は、あくまで「練習」であり「準備運動」です。AIとのロールプレイで自信がついたら、ぜひ、ほんの小さな一歩でいいので、現実世界で試してみてください。

私が会議で勇気を出して発言できたように。あなたが、友人に「それはできない」と伝えられるように。その小さな成功体験こそが、何よりの自信となり、あなたをさらに強くしてくれます。AIは、そのための心強いサポーターなのです。

最後に、あなたへ

かつての私のように、「人に相談するのが怖い」「こんな悩みを打ち明けるのは恥ずかしい」と感じている人は、決して少なくないと思います。

そんな時、思い出してください。あなたのポケットの中には、24時間365日、いつでもあなたの味方でいてくれる、最高の「壁打ち相手」がいます。

相手は機械です。感情を気にする必要はありません。対面で話すのが苦手でも、タイピングなら、少しだけハードルが下がるかもしれません。

この連載が、あなたがAIをきっかけに、ご自身の「認知のゆがみ」に気づき、それを修正していくための一助となれたなら。そして、ほんの少しでも、心が軽くなるきっかけになれたなら、これ以上に嬉しいことはありません。

長い旅にお付き合いいただき、本当に、本当にありがとうございました。 あなたのこれからの心の旅が、より豊かで、穏やかなものになることを、心から願っています。