たねやつの木

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Android端末(Pixel)でGemini CLIを動かす手順と日本語入力の現状

こんにちは。たねやつです。

Pixelスマートフォン上で直接Linuxディストリビューション(Debian)を実行できる機能が提供され始めています。 これにより、スマートフォン上でPCに近い開発環境を構築することが可能になりました。

本記事では、この機能を活用して、GoogleのAIモデル「Gemini」をコマンドラインから利用するためのツール「Gemini CLI」を導入する手順と、その過程で判明した日本語入力に関する課題について解説します。

手順

Android OSのバージョン確認

まず、利用するPixel端末のAndroid OSが、2025年3月以降にリリースされたAndroid 15以降のバージョンであることを確認してください。Pixel以外の端末では今後のアップデートで使用可能になると思われます。

Linux開発環境の有効化

次に、開発者向けオプション経由でLinux開発環境を有効化します。

  1. 開発者向けオプションを有効化する
    • 「設定」>「デバイス情報」>「ビルド番号」の項目を7回連続でタップします。
  2. Linux開発環境を有効にする
    • 「設定」>「システム」>「開発者向けオプション」に移動します。
    • Linux開発環境の項目を見つけ、「AndroidでLinuxターミナルを実行する」のスイッチをオンに設定します。
  3. ターミナルを起動する
    • 有効化後、アプリ一覧にターミナルが追加されます。これを起動してください。
    • 初回起動時にはLinux環境のセットアップが実行されるため、完了まで時間がかかります。

Node.jsのインストール

ターミナルが利用可能になったら、gemini-cliの実行環境であるNode.jsをインストールします。 ここではバージョン管理ツールであるnvmを利用します。

# nvm(Node Version Manager)をインストール
curl -o- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/v0.40.3/install.sh | bash

# 最新版のNode.jsをインストール
nvm install node

gemini-cliのインストール

次に、npmコマンドでgemini-cliをインストールします。

npm install -g @google/gemini-cli

起動と動作確認

インストール後、geminiコマンドでツールを起動します。

gemini

CUI環境であるため、通常行われるブラウザ経由の認証が機能しません。 そのため、APIキーを手動で設定する必要があります。

APIキーの取得と設定
1. Google AI Studioにアクセスし、APIキーを取得します。
2. 以下のコマンドで、設定ファイル(.env)をエディタで開きます。
vim ~/.gemini/.env
3. ファイル内に、取得したAPIキーを以下の形式で記述し、保存してください。
GEMINI_API_KEY=YOUR_API_KEY

設定完了後、geminiコマンドに続けてプロンプトを入力することで、Geminiとの対話が可能になります。

日本語入力の課題

現状、このターミナル環境では日本語入力ができません。 そのため、Geminiとの対話は英語等の言語で行う必要があります。

今後のOSアップデートによる対応が待たれます。

UserLAndでの検証

Playストアで配布されているUserLAndアプリを利用することでも、Android上でLinux環境を構築できます。 しかし、こちらもCLI環境では同様に日本語入力は行えませんでした。

GUIデスクトップ環境を構築し、入力メソッド(IM)を別途設定することで日本語入力が可能になる可能性はありますが、本記事ではそこまでの検証は行っていません。

最後に

本記事では、PixelデバイスのLinux開発環境機能を用いてgemini-cliをセットアップする手順を解説しました。

日本語入力に課題は残るものの、スマートフォン単体でこのような開発ツールが動作する点は、特筆すべき進化と言えるでしょう。 今後の発展に期待が高まります。