こんにちは。たねやつです。
今回の記事では、リニアレールの分解洗浄と取付けです。
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前回の記事では組み立てに必要な工具や消耗品の紹介とアルミフレームの組み立てまで行いました。
リニアレールの開封
VORONの公式ビルドガイドにも動画リンクがあるのでそれを参考にして作業を進めました。
洗浄
SIBOORのキットではリニアレールは防錆油を塗られた状態でビニール袋に密閉されていました。購入したキットでは1本だけHIWINレールでその他はSIBOOR製のものでした。
そのままだと滑らかに動かないので一旦防錆油を落として自分でグリスアップし直します。手袋をした状態だったのであまり写真が残っていないですが…
防錆油を落とすにはIPAもしくは無水エタノールを使用してふき取ります。レールを完全にふき取るためには一旦ブロックを取り外す必要がありますが、そのままレールから外そうとするとベアリング球が落下して元に戻せなくなるので必ず保持用のレールに移す必要があります。これは大抵のリニアレールについてくるレールと同じ溝が切られている小さなプラスチックレールです。
といっても慎重に作業していてもポロリしてしまうこともあるのですが1-2球であれば問題ないと思います。むしろ摩擦が減っていいのかも。。。???(笑)
グリスアップ
洗浄が終わったらブロックを元に戻します。レールを裏返して固定用のねじ穴の隙間からグリスを押し込むとよいようですが、ちょうどいいシリンジとか持ってなかったのでレール横の溝に指でぬりぬりしてレールをスライドさせて全体に行き渡らせました。ベアリング球にグリスがついているのが確認できたので大丈夫だと思います!
これを全部のレール(7本)に行います。作業が完了したらブロックが脱落しないように元通りレールの末端にはゴム栓をしておきましょう。
XYZ用の選定
1本のHIWINレール以外はすべてSIBOOR製のもので部品的には全部同じなのですが、動きが滑らか・渋いなどの個体差というか精度の差があるので良く動く箇所に滑らかなものを持ってきます。HIWINの高品質なレールはX軸用として、残りの6本から滑らかな2本を選定してY軸用とします。
今回のレールは2本だけ明らかに動きが渋い(基本的な動作には全く問題はなさそう)ものがありましたので、それはZ軸用にしました。
リニアレールの取り付け
下準備ができたらレールをフレームに取り付けていきます。今のところ取り付けることができるのはZ軸の4つのみなのでそれ以外は一旦しまっておきます。
フレームを回転させる
ドキュメントに従って右奥のところから取り付けていきますが、フレームを立てた状態だとブロックがリニアレールから脱落してとんでもないことになるかもしれないので、いったん作業する辺を地面と平行になるようにして作業したほうがいいです。90度フレームを回転させましょう。
まずはフレームの上にレールをのせて治具を使用して中心を出しながら仮固定します。治具は↓の3Dプリント品でVORONのGithubリポジトリから取得可能です。SIBOORキットの場合はMGN9と12用のものがついてきました。
底面から3mm以上隙間を設ける
仮固定する際には底面のフレームから3㎜ほど余白をもうける必要があります。コレ、この段階では何の説明もされていないのですが後々Z軸用のベルトカバーをつけるために必要となってきます。私はここを結構適当にしたため公式で用意されているベルトカバーが入らずに少々加工する必要がありました…ちゃんと3mm確保しなおせばいいのですが、いったんガントリーまでくみ上げた状態でここを少しだけずらすのがメチャクチャ大変なので私のようにならないようにしましょう👀。造形の品質には影響のない部分です。
心配であればZベルトカバーを当ててみてちゃんと付けられるか確認してみてください。モデルはz_belt_cover_a または b
となります。
マステにボルト穴をマーキングする
位置が決まったらフレームの側面にマスキングテープを貼ってネジ穴をマークします。全部のボルトを取り付ける必要はなく1つ空き毎につけていきます。マーキングの方法は以下の動画が参考となります。
Tナットをマーキング箇所にはめ込む
マーキング完了したら慎重にレールを一旦外し、アルミフレームにTナットをマーク箇所にはめ込んでいきます。Tナットは初登場となりますが、片方をフレームの溝にセットした後にもう片方を爪で押し込むとフレーム内にハマります。取り外す時はねじ穴よりも小さい径のマイナスドライバーを突っ込んで片辺を外に出す感じでこじればとれます。間違っても六角レンチのボールポイント側でほじくったりしないようにしましょう!!簡単に角が舐めて六角レンチが使えなくなりますというかなりました😭
ナットを装着したら再度レールを乗せて、各ボルトを手締めでセットしていきます。少しぐらいズレていても修正できますがネジ穴から大きく外れてしまっている場合は一旦レールを外して修正する必要があります。ネジ穴から覗いてみてズレてないかチェックしてから締め始めてください。
仮締め → 本締めとする
ボルトを締めるときは私は以下の手順で行っています。
- 手で回せる場合は指先の力である程度回せるところまで回す。
- 取り付けるボルトが複数ある場合、線対称、点対称、対角線等順番にセットしていく。
- 六角レンチで軽く回せなくなるまで回す。手締めの段階でここまで回っている場合はあまり回しません。ココも複数ある場合同じ順番で締めていきます。
- 最後に少しだけ力を加えて本締めする。この時も複数ある場合同じ順番で締めていきます。
最初に手締めする理由はネジやネジ穴に問題がある場合に気づきやすいからです。六角レンチとかで締めると力をかけやすいのでちょっと回りにくい場合でも無理やるまわせてしまい、ネジ山をつぶしかねない → 取り外せなくなったり再利用できなくなります。
複数ボルトがある場合はなるべく歪みが発生しないように各ボルトを均等に締めめていきます。一か所を本締めした後に他の箇所を締めようとすると歪みが発生しやすいです。このあたりのネジ締めに関しては機械加工とかのサイトを参考にしてみるといいかもしれません。
今回のレールの場合は中心から外に向かって締めていくのが正解です。公式ドキュメントにもそう書いてあります。
When tightening the bolts tighten them from the center outward to ensure that the rail sits flush on the extrusion.
完了したらブロックをテープでぐるぐる巻きにして固定する
取り付けが完了したらブロックがレールから脱落しないようにレールの中央あたりでマスキングテープ等で固定しておきましょう。今後も作業性のためにフレームをあっちこっちに回転させるので必ず固定します。
なんかカマキリの卵みたいですね…。これを残り3箇所繰り返していきます。
底面のパネルとDINレールの取り付け
レールの取り付けが完了したら底面のパネルと電源やRaspberry Piなどを固定するためのDINレールをセットします。
これはそこまで厄介なことはなくドキュメントに沿って作業を進めていけばOKです。DINレールは端っこが結構鋭利になっているので注意してください。取り付けてしまえば触れる場所にはでてきません。
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次回はヒートセットインサートを一気に3Dプリント部品に埋め込んでいきます。