たねやつの木

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光造形3DPでプラットフォームから剥がれる時の対処法

こんにちは、たねやつです。

この記事では光造形3Dプリンターで、プラットフォーム(ビルドプレート)部分に最下層(bottom layer)が上手く張り付かず、剥がれてしまう時の対処法をまとめました。

結論から言うと、私の環境ではプラットフォームの研磨と最下層の照射時間をとても長くすることによって解決できました。その他の試した方法についても有効だったのかもしれませんが、この2点を行ったところ劇的に改善したような気がします。。

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機材等

使用した機材はAnycubic Photonです。後継機(?)として、Photon SやELEGOO社でも同じ印刷方式のものがありますが、どれでも以下の手段は有効です。

使用したレジンは、ELEGOOの水洗いレジン(ブラック)です。

また、最下層の照射時間を増やすと、プラットフォームとの密着度も上がるので付属のプラスチックスクレイパーでは剥がしにくくなってきます(剥がしにくい=しっかり定着しているので嬉しいことなのですが、、(笑)

カッターのようなスクレイパーを使用することでプラットフォームから剥がすのがとても簡単になります。大きさはSでも事足ります。

デメリットは、プラスチックと違いプラットフォームを傷つけやすいという点です。一か所でも浮かせられたら、プラスチックのスクレイパーで剥がすとしたほうが安全ですね。

試行錯誤

レジンをかき混ぜる

レジンバット内にためたままだと、内部の成分(着色剤など)が沈殿したりして、全体にまんべんなく生き渡らなくなります。クリア系のレジンだと顕著ですね。しっかり混ぜないままレジンを使用すると本来ブルーのはずが、緑っぽくなったりしますね。

色が変わってしまうのと同じように、プラットフォームへの定着度も変わるのかと思いましたが、これは効果が見られませんでした。ですが毎回印刷前にしっかりとレジンを撹拌してあげるのは大事ですね!

レジンを温める

今回問題が発生したのは10月なので、外気温がそこまで低いわけではなかったですが、とりあえず温めてみました。真冬などレジン自体が冷え切った状態だと流動性が悪くなったり、気泡が発生したりとあまり良い影響は与えないです。

手持ちのヒートガンでひとまず温めてみましたが、これも特に効果はありませんでした。

レジンを替える

他に同じELEGOOの水洗いレジン(クリアブルー)や、SK本舗の水洗いレジン(クリア)も持っていたのでトライしてみました。いずれも最下層のレイヤー数や照射時間は標準の範囲内でしたが、これも上手くいきませんでした。

このあたりで、偶然やレジンのせいではなくPhoton本体側の問題だとおおよそ断定できました。

FEPフィルムを確認する

フィルムに残留物が凸凹があるとFEPフィルムとプラットフォームが密着できずに上手く定着できないはずです。とがった部分の印刷や、FEPフィルムにくっついてしまった残留物を剥がすときに傷つけたりしがちですよね。

バット内に残っているレジンを一旦ボトルなどに戻し、IPA等で洗浄してからフィルム表面の裏表を確認します。

硬化前のレジンがついていた箇所なので、あまりお勧めはしませんがニトリル手袋等を装着の上触って確認するのもアリかと思います。実際目では見えなかった小さな凸凹を確認することができました。

FEPフィルムを張り替えて再度印刷しましたが、状況変わらず。。。このあたりからだんだんフラストレーションが溜まってきます。。(´;ω;`)

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今回の事象とは関係ないですが、初めてFEPフィルムを変えた時はめっちゃ傷ついてるやん!!ってなりました。あんまり意識でいていなかったですね。。(笑)

最下層がどのようにはがれているのかを確認する

もっと最初に確認しておくべきでしたが、最下層がどのように剥がれているのかを確認することである程度プラットフォームの水平やゆがみなどがわかります。

例えば、ど真ん中に造形物(の最下層)を配置した時に右側はしっかり定着しているのに、左側が1層目からはがれてしまっているとなった場合、プラットフォームが左肩上がりに傾いているか歪んでいます。

私の場合ちょっと厄介で、プラットフォームの中央に向かってへこんでいるような状態になっていました。プラットフォームの左端に寄せて印刷すると右側が剥がれる、右側に寄せると左側が剥がれるというような感じです。

ちょうど以下の記事の方のプラットフォームのような状態になっていたと推定できます。

プラットフォームを調整する

とりあえずプラットフォームの水平を再度セッティングして確認します。印刷たびに調整するというようなTwitter投稿や記事も見かけましたが、私は買ってから1年ほど使用していますが、最初のセッティングから1回しか触っていません(これまで特に問題なかったため。

ロックを緩めた状態でホームまで動かし、0.数ミリ下げてLCDスクリーンと接するようにしてロックを少し締めます。また数ミリ上げてロックを完全に締めます。

結果的にこの作業も特に印刷に好影響は与えませんでした。つまり水平は特に問題なかったということです🤔

プラットフォームを研磨する

カッター刃のスクレイパーを使用していると、当たり所が悪いとプラットフォーム面を傷つけてします。「上手くいかなくなったら研磨すればいいや」と思って適当に使っていた結果がこんな感じです。(ちなみに軽く研磨後です。

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ささくれだった金属片がバット内に残留したりFEPフィルムを傷つける(→破れてレジンが照射面ガラスに付着→硬化で大変なことになる)場合もありますので、使用する場合は極力丁寧に扱った方が無難でしょう。。

#240の紙やすりで削ります。表面にすじすじが見えるぐらいの粗さのやすりがいいでしょう。もうちょっと粗くてもよかったかもしれません。

最下層のLED照射時間を長くする

今まで最下層の照射時間を40sにしていました。ELEGOO水洗いの推奨設定は40-60sなので最小値ということです。当初は照射時間を長くするとプラットフォームへの定着が強く、付属のプラスチックスクレイパーだと剥がすのに苦労していたのですが、今はカッター刃のスクレイパーを使用しているのでこれは特に問題ではなくなりました。

思い切って160sまで延ばして出力してみるとようやく安定するようになりました!!

これで長かった戦いが終わりました。。🙄

最後に

いろいろと試行錯誤を繰り返してきましたが、結局照射時間を延ばすだけでよかったかもしれません。ちょうどレジンを切り替えたタイミングから発生するようになったので、ロット差で上手く定着しなかっただけなのかもしれませんが、、

SK本舗のレジン(3Dプリント用ではない)でも、Amazon倉庫内の保存環境がよろしくなく品質の悪いものが出荷されていたという事案も発生しているので、同じ機種、設定、レジン、出力アイテムで上手くいかなくなったら製造元に問い合わせてみるのも手かもしれません。

日ごろから丁寧にメンテして知見を集めていれば焦ることもないのかもしれませんが、今回は初めてで突然なったのでかなり焦りました!しかもちょうど印刷物がすぐに欲しい時に、、(笑)

少しでもこの記事が問題解決につながれば幸いです!